456:ギャルと已己巳己 ページ6
Aは、看板の上で野生動物が辺りを忙しく探すように、周囲を見回した。
「なんだ、この……感じ…」
先程感じて追ってきた甚爾のものとは違う。
もっと異質で、更に禍々しい。
何千年の眠りから魔物が目を覚ましたような感覚。
何千年の、眠り____、
「まさか…ッ」
Aは、目を丸く見開いた。
この感じ、もしかしたら。
いや、本当にまさかなのかもしれない。
けれど、該当するものがそれしかない。
「____宿儺、」
呟いた時には、体が勝手に動き出していた。
オッサンの気配、あれは多分杞憂だ。
杞憂じゃなきゃ、死んだってのに説明がつかない。
居もしない死人を追うほど、私は暇じゃないんだ。
「そうだ、宿儺を。宿儺を探さないと………、」
私の役目、私の目的。
Aは、自身に言い聞かせ地を蹴り上げ走り出した。
路地の出口がやけに眩しく感じた。
光の方へと、Aは進む。路地裏の出口。
そして、Aはそこで現実では説明のつかない光景と対面することになったのだ。
息を呑む。
彼女の緑の瞳に、そいつは突然映し出された。
あの日、死んだあの日、まだ覚えてる。
死体を抱えあげて、私は言ったんだ。
心にぽっかりと空虚な穴が空いたけど、あの人の出生を知っていたから。
だから、あの日。私はオッサンにしか聞こえないように、「もう自由だね」って言ったんだ。
もう、これで誰もアンタを傷つけない。
アンタも、アンタを傷つけなくていいんだ。殺さなくて、いいんだよ。
それなのに、それなのに………ッ
「…!?A、さん…!?」
Aは、考える全てを捨て去りその場へと飛び込んだ。
「恵、下がってろ…ッ」
どうしてこんなことになってるんだ。
よりによって、どうして。
対面してはならない二人がこの場に居合わせていて、Aは隅から隅まで問いただしたい気持ちになったが、それをなんとか抑える。
「Aさん、アンタの話は全部聞いてます…!この状況で、術式を失ったAさんが敵う相手じゃない…!俺でもわかる、あの目の前の男は、」
「駄目だッ!……お前は絶対に手を出すな。絶対に」
伏黒の言葉を遮るAの声音は、聞いたことのないほど切羽詰まるものであった。
口答えは許さない。私の言うことを聞きなさい。まるでそう言っているみたいだ。
Aの姿に、目の前の男はゆらりと笑った。
1207人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時