454:ギャルと加速度 ページ4
むかっ腹が立つ気持ちに胃を蹂躙されながら、それでも走り続けていた矢先、突如Aの前に数体の呪霊が姿を現した。
「…!」
急ブレーキをかけるよう立ち止まるA。
「待ちなサイ、待ちなサイ、サイ、サイ、サイ」
ぞろぞろと忍び寄るようにAの前を埋めていく数体の呪霊を前に、Aは爪で耳を掻いた。
発達した足は長く伸び、腕も人間のそれも変わらない。しかし、何故か二足歩行ではなく全員が四足歩行なのだ。
「ルパンのさぁ、カリオストロの城だっけぇ?敵のヤツらがさぁ、夜中にルパン達を奇襲すんのよ。そん時のヤツらと動き似てんなぁお前らぁ……あ、」
耳からパッと手を離し、何かを思い出したように声を上げたかと思えばAは、表情を機嫌悪そうなものに一変させた。
「その映画も、昔オッサンと金ローで見たんだったっけなぁ〜〜!!?しかも、最後の展開見る前に競艇チャンネルに変えられて、あのカリオストロの城の最後の展開未だに知らねーんだぞ!!?」
ジブリだからサブスクはねぇし、ビデオ屋行けば私が借りる時いっつもねぇし、なんだかんだで見れてねぇんだぞ。
Aは、その場で咆哮の様に天にムカつきを吐き出した。
「くそ、テメェらのせいで嫌なこと思い出しちまったじゃねぇかあぁぁぁ!!!!」
その咆哮、ドラゴンの火吹きが如し。
呪霊達は、Aの怒りに関係なくわらわらと動いたかと思えば、「サイ、サイ、さ、さささ、ささ」とバグが生まれたかのような口調に変化する。
そして、腕の関節が突然コブが出来るように一から二へ、三へ、徐々に人の姿から遠のき、変態を繰り返しながらAへと走り出した。
Aに負けじと発狂する呪霊達。
その勢い、普通の呪術師でも足が竦んでしまうだろう。
だが、Aは違う。
Aは、奴らに向かってギロリと鋭い瞳を向けた。
まるで研がれたばかりの刃のような、怒りに満ち溢れた瞳。
「今、テメェらに構ってやれるほど…虫の居所が良くねーんだ…ッ!」
その声、女のものとは思えないほど低く鋭く、地獄の門が開かれたような声音であった。
Aはその瞬間、その場から消えた。
いや、消えたのでは無い。
「お前らが鈍足で良かったよ」
Aは、視界で追いつくことの出来ない速度で呪霊の群れを掻い潜り追い越したのだ。
瞬間的な加速。それはさながら、1秒24フレームの速度を凌駕する程の芸当。
Aは、悪魔なような笑みを口元に浮かばせる。
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時