452:ギャルと脱皮 ページ2
禪院直毘人の術式____『投射呪法』は禪院家相伝の術式である。
1秒間という空間を24つに分割し、一コマ一コマを予め自身はこう動くのだと予想しておく。
そして、あとはそのイメージした動きに合わせ動くことで、1秒間という短い時の中を超高速に動くことができるといった術式だ。
デメリットは様々あれど、特にこの術式は自身の動きを先手を打ち決めなければならない分、修正が効かない。
しかし、熟練の直毘人を前にしてその修正は無意味である。
『最速の呪術師』
それが、彼の異名だ。
殴り飛ばされたタコのような呪霊。もとい____『陀艮』は、地に這いつくばり鳴いていた。
痛みでも感じているのだろうか。
どことなく可哀想な気がしてしまうが、奴はどう頑張っても呪霊だ。
慈悲など必要ない。
素早い直毘人の動きに、七海と真希は呆気に取られていた。
一匹を叩くことがこんなにも簡単でいいのだろうか。
「う゛っ…、」
事が始まったのは、そんな矢先のことだった。
突如、半身起き上がらせた陀艮が、妙な声を上げたのだ。
思わず、片眉を上げる直毘人。
瞬間、陀艮は大量に口から何かを吐き出したのだ。
人間は何かを吐き出す時、大抵が消化途中のものと胃液が混ざり合った所謂吐瀉物を吐き出す。
無論、呪霊も同じである。
なんと、陀艮が吐き出したのは食糧。人間の残骸だ。
既に骸と化しているものの、その数一体幾つに昇ることやら。
やはり、思い直しても奴はやはり呪霊であったか。
直毘人は嘲笑的な笑みを片手に訊ねる。
「貴様、何人喰ったんだ?」
山積みになる骸。
その横で、気分でも悪そうに床に項垂れ陀艮は鳴き声だけを上げていた。
無論、直毘人の問いに答えてはくれない。
代わりに、舌ったらずな口調で喋り出したのだ。
「じょうごぉ…まひとぉ…」
「…?」
「はなみぃ…」
一体、奴は何を言い出したのだろう。
その赤子のような口ぶりで。
刹那、突如として加速するように陀艮の声色が変わっていく。
「はな、みぃ」
涙ぐんでいた奴の瞳が、途端に小さくなる。
獣のように。怒りを露わにしたように。
「よくも…、よくも花御を________殺したなッ!!!」
途端、陀艮のタコのような身が頭から裂けた。
裂けた箇所からは何かが素早く飛び出し、残った陀艮の元の姿は皮だけとなってしまう。
本来の姿。
直毘人は、なるほどと鼻で笑った。
「通りで弱いはずだ。まだ受胎だった、というわけか」
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時