513：虫唾 ページ17
「ストックホルム症候群、だっけ。誘拐された側が、段々誘拐犯に情が湧いてきてしまうやつ」
「へぇ、そういうの名前あるんだ〜♧」
アンタの話なのになんで呑気なのよ。
Aは、隣のヒソカに顔を顰めながら「なに、それ。私がそれって言いたいわけ？」と半ば苛立ちを隠せぬ口調で言ってやると、イルミは平然とした顔で「姉さんは相変わらず話が早くて助かるね」と返してきた。
「四歳か五歳の時かなぁ。拉致されてどうにもならなくなった時、そういう現象が起こり得る場合がありますってツボネから習ったよね。…姉さん、ウチに戻ってきた方がいい。そんな事も姉さんが忘れてしまうなんて、外の世界に浸かりすぎたんだよ」
イルミの黒い瞳がAをじっと見る。
悪意ひとつない、本心からAのことを心配している目だ。
しかし、Aにとってはその目が癪に触るのだ。
「姉さん、やっぱり殺しだよ。殺しが俺たちの全てだよ」
その時、Aの奥歯がギリリと音を鳴らした。
そして、気づいた時にはその場で立ち上がって机を拳でダンッと叩いていたのだ。
激しい音を鳴らし、机がAの拳を中心に叩き割れる。
たかが机。Aのキレた際に叩き出された威力には敵わない。
咄嗟に反応したヒソカは、まだ残る珈琲とAが飲んでいたミルクティーを大破する寸前で確保する。
彼の反射神経を賞賛したいところだが、今のAはそれどころではない。
「この…ッ、私が…ッ、その程度で…ッ、落ちぶれるわけがないだろッッ！！！」
あまりの激昂を前に、周囲が遂にA達へ目を向けた。
なんだなんだ、修羅場かと。
あーあー、大変なことに。両手にマグとグラスを持ったヒソカは、眉を八の字に寄せた。
周囲の目が集まれど、Aの昂った感情は収まらない。
「この私の弟なのだから、知っていて当然承知の事実だろうけどねぇッ！？私が虫唾が走るほどこの世で最も嫌いなことは、一に見下されること、二に私の領域にあるものを傷つけられること＿＿＿＿」
そして三！！！
と、Aはイルミに三本指を突き出し、荒げた声のまま言い切った。
「たとえ家族であろうと、自分以外の誰かにレールを敷かれること！！！」
その気迫、心意気、言い切った清々しいほどはっきりとした声音。
思わず周りの客にウェイターはわけも分からず「お〜…」と拍手をしてしまう。
一方、イルミは座ったまま、至極気に食わないといった顔で顔を顰めていた。
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
