510:ここで殺してしまおうか ページ14
カランカラン、イルミが持ったままのフォークを落とす。
フォークの音だけがその空間の音を埋めて、何故か客や店員の声は無音へと変わってしまったように感じた。
無、の顔のイルミであるが、ヒソカでも今日ばかりは彼の真顔を見て思った。
あ、これ思った以上にショック受けてる顔だ。
落ちたフォークを、何処から現れたのか店員が「新しいものに変えときますねぇ」とササッと拾い上げて、持ってきた新しいものをイルミの前へ置いていく。
それをきっかけに、イルミが口を開いた。
「コレが、」
「コレ♢」
「このド変態が、」
「ド変態♧」
「姉さんの、なんだって?」
イルミはボクがゴミにでも見えてるんだろうか。
んー、とヒソカは首を傾げてみる。
漢らしく、まるでサッカー部の少年が友達にやるように、彼の肩へ回す腕をAはゆっくり解きながらイルミの問いへ返した。
そう、何度問われたって同じ言葉を。
「姉さんの、恋人」
「恋人って何???」
「姉さんの、好きな男よ」
あんまり言わせないで、隣の男が調子に乗るから。
Aは付け足す。
件の横の男は、ニヤニヤと浮かべて「じゃあ君がやたらとボクに言ってくる時は調子乗っていい時なんだ...♡」と戯言を抜かしている。
Aはと言えば、恋人だと言ったばかりの男に対し「あら、ハエが煩いわねここ」とサラリと言い退け一蹴してしまう。
顔色ひとつ変えず言う姿は、やはり双子のイルミに似ている。
うーん、ボクに冷たいAも好き♡
脳内あっぱらぱーなヒソカに反し、イルミは相変わらず無の中に圧倒的なショックを混ぜた表情でヒソカと姉を見比べる。
「…洗脳?」
「出来るならもっと早めにやってる♤」
「弱みでも握られてる?」
「握られるぐらいなら殺してるわ」
二人は平然とした顔をしていた。
それもそうだ。弟であり、操作系のプロであるイルミが見れば、姉が操られているかどうかなんてすぐに分かる。
イルミは、姉の顔を最初から見た時点で分かっていた。
姉さんは、本心で言っている。
「…」
イルミは、何を思ったか解けるように体から力を抜き、いつも通り心理の読み取れない表情と立ち振る舞いで髪を掻き上げた。
あれ?結構すんなり受け入れた?
意外だな、ヒソカが思った矢先、本日一番と言っていいほどの禍々しいオーラがイルミの中から外へと放出された。
ゆらりと数本の針を掲げるイルミ。
「ここで殺してしまおうか」
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です;;話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります!!お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します!面白すぎて全話読みました!応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい!。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします!。(💦) (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます!!🙌めちゃくちゃ嬉しいですー!🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…! (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月11日 16時