047：ギャルと慈雨 ページ47
この人は、津美紀も俺も死ぬ気で守ってくれた。
なんで、この人が呪われる事になったんだろう。
不平等だ。
呪われるべきじゃない人間を、この世は無慈悲に呪う。
呪われるべき人間が、この世ではのうのうと生き残る。
全くもって、不平等だ。
悪人は法という平等の下で裁かれる。
けれど、善人に与えられるのは不平等な現実だ。
裁かれようとも、善人の手には何も戻ってこない。
いつか、Aさんが言っていた。
『恵さぁ、助けたい奴を助ければいいんだよ。なんで、自分に歯止めかけんの？』
降り頻る雨。
髪から伝い、顔を濡らしていく。
『私たちも、お前も、呪術で人を助けるんだよ。それしか、与えられていない。だから、その枠の中で私たちは足掻くんだよ。サイヤ人でも、ジョースター家でもないんだからさ』
Aさん、アンタの言葉。
漸く理解できました。
「命を燃やさなきゃ、割りに合わない……」
伏黒は呟き、宿儺へ向け腕を構えた。
体に呪力が走る。
宿儺は瞳を小さくした。
呪術師という枠で、俺は不平等に＿＿＿人を助ける。
「いい……いいぞ…ッ」
宿儺は口の端を耳まで吊り上げ、伏黒へと歩を進める。
「魅せてみろ、伏黒恵ィッッ！！！」
「布瑠部……由良由良…」
命を、燃やす。
「八握＿＿＿＿＿」
あぁ＿＿＿
伏黒は気付く。
今”これ”を使えば、”虎杖”は確実に死ぬな。
俺がコイツを助けたのは、生きているべき人間だと思ったから。
悠仁が戻ってくる気が伏黒にはした。
伏黒は腕を解く。
「俺は、呪術師なんだ。」
Aさんがいつかの時、もっと我儘を言えって言ってたな。
「お前を助けた事を、俺は一度だって後悔したことはない」
伏黒は表情を緩めた。
すると、目の前の”悠仁”はふわりと笑ったのだ。
「そっか！伏黒は頭いいからなぁ…。でも、俺の考えも間違ってるとは思わん」
分かってるよ
お前って、Aさんと似てるからな
あぁ、そうか
ずっとコイツに感じていた既視感はそれか
伏黒は、思わず笑ってしまう。
悠仁の体から血が溢れ地に零れる。
自分が死ぬというのに、彼は最期まで他人の心配をしていた。
最後、壁に横たわるAを見て「Aも…何とかなるよな」と付け足すと、彼の体はぐらりと倒れていった。
「長生きしろよ」
伏黒は、上を向く。
酸性雨の匂いがどこまでも強く感じた。
人が死ぬのは、こんなにも悲しいんだな
頬を伝う雨に、塩気が混ざっていった。
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鼻毛太郎(プロフ) - 麗華さん» コメントありがとうございます！🙌うん億年前に書いたイラスト、そういえばあったなとコメントで思い出しました笑刺さったようでとても嬉しいです🥺まだまだ長く続くシリーズ、ぜひお楽しみ頂けたら幸いです！ (8月17日 12時) (
レス) @page49 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - 夢主ちゃんの過去編からみてイラストを見ましたがめちゃどタイプです………これからも応援してます〜！ (8月17日 9時) (レス) @page49 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます…！凄く有難いお言葉頂けて感激です😭😭長く続くシリーズ作品ではありますが、ぜひ今後もお付き合い頂けると嬉しいです…！！🌸🌸 (2022年1月2日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 話の構成がしっかりしててそれぞれの物語があってこんなに面白くて読みやすくて引き込まれる作品は初めてです…！！素敵な作品をありがとうございます最高です！体調にはどうかお気をつけて！！ (2022年1月2日 0時) (レス) @page49 id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - yuuna1202さん» ありがとうございますーー！！；；今後もギャル先輩と後輩悟くんの二人を是非見届けてあげてください…！ (2020年12月9日 20時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2020年11月18日 23時
