【呪術廻戦】ギャルと呪術-1-

037：ギャルと若様 ページ37

Aの食い付きが良かった為に、女中の提案通り着物を借りることにしたA。

｢先輩、あんまり可愛くなりすぎちゃダメだからね！！？｣

｢お宅の坊ちゃん煩くないすか？吠え防止の口輪とかつけたほうがいいよ。犬用の。｣

若様もとい坊ちゃんの扱いがあまりにも雑なギャルに、女中は苦笑いを見せる。
｢犬用って何？先輩、犬用って何！？｣と騒ぐ五条を無視し、女中とAは去っていく。


｢……あれさ、先輩なりの照れ隠しかな。｣

｢……いや、違うかと…。｣

件の先輩が去った廊下で、もう1人の女中は愛想笑いを返す。
若様はいつから頭が弱くなられたのでしょうか。
キャンキャン騒ぐ五条は、Aにとって犬に見えているのかもしれない。
デカくて白い犬。

有り得る。

と、考えてしまう自分がなんて失礼なことか。と、女中は眉根を寄せていると、突然目の前にカードが差し出された。

｢先輩のシャツ買ってきてあげて。これ僕のカード。先輩には何も言わなくていいよ、探したらあったって言っておけばいいし。｣

着物は勝手に着るから宜しく〜と、五条はひらひらと手を振りその場から居なくなる。

カードを手に、1人残された女中。

めっちゃ男前じゃん……ッッ

SNSに呟きたい気持ちを抑え、女中はシャツ購入に向かうのであった。



＿＿＿＿。



左右の襖が同時に開かれる。

左には五条。
右にはA。
真ん中には、格式高いローテーブル。
それと、座布団2枚。

最初に声を上げたのはAだった。

｢悟が偉い奴に見えるのめっちゃウケる｣

いや、ウケるのこっちーー！！
あまりの尊さに笑っちゃうねーー！！

着物姿のAは、五条にとって想像以上の破壊力を与えた。
自分が着物姿だとか最早どうでもいい。
泣いてもいいと言われたら、恐らく咽び泣いている。
拝んどこ。
両手を合わせていると、先に座布団に座ったAに座ったら？と急かされた。

サングラスの奥の瞳で、Aの姿を目に焼きつける五条。

あとで写真お願いしよ…。
僕が死んだら棺桶に写真入れてもらお…。

｢なんかさぁ、｣

｢うんー｣

心ここに在らずな返事。

｢お見合いみたいじゃね？｣

｢そだねー……なんッ、はッ、え！！？｣

変化球。
デッドボール。

立ち上がりかけ、思わず机に足をぶつける。
Aはそんな五条を前に、ケラケラと笑いながら｢驚きすぎだろ〜｣と言った。

この人は…

いい歳して赤くなってる自分。
何となく悔しい。

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