028:ギャルと胸くそ ページ28
_______。
「…最後じゃん。抱きしめてよ。」
我が儘を言ってみた。
沢山我が儘を言ってみたことはあったが、多分これはアイツにした中では一番の我が儘だった。
少し後ろで、悟が背を向け静かにしている。
偉いなぁ、お前は。
アイツは、まだ綺麗な片手で私の背に手を回す。
狡い。狡すぎ。
血みどろの半身のくせに、今更私に血がつかないよう配慮してんじゃねーよ。
最後にアイツは言う。
「じゃあね。」
何それ、まだ言うことあんだろ。
その日は一日中涙が止まらなくて、確か夜中に悟を連れ出し「失恋旅行行くよ。」と出かけたっけ。
_______。
うるさ…。
布団から手だけを出し、携帯を探す。
その日、Aは電話の音で目を覚ました。
まだ眠たい目を無理矢理開け、手にとった携帯の画面を見ると相手は五条だった。
「…はよ」
『あ、もしかして寝てた?』
Aはスピーカーボタンをタップし、ベッドから起き上がる。
「寝てた…。下着のまま寝てた。」
いつ脱いだんだろ。ていうか、いつ寝たんだろ。
ブラジャーとパンツ姿の自分を鏡に映し、Aはぐっと伸びをする。
寝覚の悪い夢を見た。
『え、写真送ってくれます?片手で目隠しして、出会い系サイトの自撮りみたいな感じで。』
「電波悪いから、電話切るわ。」
『ごめんごめん冗談でーす。切らないで、本当に切ろうとしないで。』
低血圧で気分が上がらないAとは裏腹に、五条はいつもの調子だ。
五条がかなり煩く懇願するので、Aは通話終了ボタンから指を離す。
引越ししたばかりのはずなのに、荷物は粗方片付いていた。
昨晩、七海の部屋から帰宅後片付けを済ましたらしい。
記憶はない。
私すげぇ…と思いながら、クローゼットから衣服を取り出す。
「んで、どうしたの?朝から電話して。あ、煙草吸っていい?」
とりあえず下だけは履き、鏡台に放置された箱を手に取る。
電話相手に聞いてどうすんだと思ったが、まぁ一応。
尋ねると、五条からは『どーぞ』と言葉が返ってきた。
「どーも」
返しながら、Aはベランダに出る。
一本口に咥え、ライターで火を付ける。Aは指で摘み、空に煙を吐き出した。
なんとなく眠気が覚めていく気がする。
「あ、七海だ。」
『え、なんて?』
「ベランダ閉められた。え〜凹むんですけど〜って、わ、何これ。着ろってこと?ワイシャツ飛んできたんですけど」
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鼻毛太郎(プロフ) - 麗華さん» コメントありがとうございます!🙌うん億年前に書いたイラスト、そういえばあったなとコメントで思い出しました笑刺さったようでとても嬉しいです🥺まだまだ長く続くシリーズ、ぜひお楽しみ頂けたら幸いです! (8月17日 12時) (レス) @page49 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - 夢主ちゃんの過去編からみてイラストを見ましたがめちゃどタイプです………これからも応援してます〜! (8月17日 9時) (レス) @page49 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます…!凄く有難いお言葉頂けて感激です😭😭長く続くシリーズ作品ではありますが、ぜひ今後もお付き合い頂けると嬉しいです…!!🌸🌸 (2022年1月2日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 話の構成がしっかりしててそれぞれの物語があってこんなに面白くて読みやすくて引き込まれる作品は初めてです…!!素敵な作品をありがとうございます最高です!体調にはどうかお気をつけて!! (2022年1月2日 0時) (レス) @page49 id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - yuuna1202さん» ありがとうございますーー!!;;今後もギャル先輩と後輩悟くんの二人を是非見届けてあげてください…! (2020年12月9日 20時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年11月18日 23時