041:赫赫明明 ページ41
「お前は見た目に反して、案外聡いからな。気づいてるかとは思うが、呪術界はマトモじゃない。こう言ってはなんだが、イカれた奴だけが生き残る…そういう社会だ」
Aは咥えた棒を時折パタパタと動かしてはいたものの、夜蛾の話を黙って聞いていた。
「強くなれば階級も上がる。階級が上がれば、嫌でも呪術師の仲間入りだ。上がれば上がる程、上との繋がりも濃くなっていく……俺は、お前を腐った世界に導きたいわけじゃない」
「……呪術師やめるの、今からでも遅くないって話?」
「…そうとは言ってない。ただ……大人の愚かな争いにお前が毒されていくのは、柄じゃないが悲しい」
夜蛾がこんな事を言うとは思っていなかったAは、暫く返す言葉を探していた。
「夜蛾、アンタやっぱ疲れてるよ」
「そうかもしれんな」
夜蛾は自嘲気味に笑い、目頭を摘む。
そして、夜蛾は立ち上がると「頭の片隅にだけでも置いといてくれ。受け取り方はお前の自由だ」と言い残した。
「さて、俺も帰るとする。A、さっさと寝るんだぞ」
「親父かよ」
Aは鼻で笑いながら返す。
夜蛾はその後短く別れの返事をすると、共用スペースから出ていこうとした。
「なぁ、」
Aが呼び止めると、夜蛾は振り向いた。
「私は、どこに行こうが偉くなろうが、きっと変わらねぇよ。そんなんで変わっちまうほど、私は腐らない。安心しろよ、夜蛾」
Aは至極真面目な顔でいった。
それは、Aのポリシーでもあり信念でもある考えから生まれた言葉だった。
けど、その言葉はいつまで通用するだろう。
Aは子供だ。
何も知らない、大人の序列もしがらみも何も知らない子供。
だからこそ、こう言える。
それが、大人である夜蛾にとっては眩しかった。
夜蛾は「そうか」と短く言葉を返すと、それ以上何か言うでもなくその場から去った。
____。
「オッサン、どこほっつき歩いて………何してんだよ」
オッサンとの稽古は毎日続く。
今日もオッサンと稽古をする為に、授業後寺へと帰ってきたのだが、いつも居る本堂にはオッサンの姿は無かった。
オッサンは、たまに何日かするとふらっと居なくなって暫く姿を消すなんて事はザラだ。
けど、最近は稽古もあってか居なくなる事は無かった。
どうやら、私が高専に行っている間だけは外に出てる様子だが。
「あ?なんだ、Aか。遅ぇから煙草吸ってた」
寺院裏で、オッサンは煙をぷかと吐きながら言った。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時