【呪術廻戦】呪術とギャル-0-

036：連帯責任 ページ36

上層部の会議では、名取吉祥の話題以外に随分前から話題になっていたことがあった。

この会議に、五条家の嫡男が出席すると。

六眼と無下限呪術、両方を兼ね備えた神童＿＿＿五条悟。
今回この会議に出席者が多いのは、五条家が産んだ怪物を品定めしたいというのもあるだろう。

まだ幼い14歳の少年は、瞳を瞑り黙っていた。
そして、暫くし瞼を持ち上げたかと思えば、彼は気怠げに言ったのだ。


｢帰っていいか？｣


誰もがギョッとした。
直毘人だけが顎を撫で、｢五条家も落ちたものだな｣と嫌味ったらしく呟く。

｢てかさぁ、今年高専に入る予定だった1年なんだろ？じゃあもう、もう1人の1年が処理したら？｣

連帯責任的な、と五条は適当に物を言う。
それを聞いた直毘人はゲラゲラ笑いながら、｢綺羅の娘か｣と述べる。

｢アレはダメだな。四級以下だろう？くく、いやぁ、だが名取吉祥とぶつけても面白いかもしれんな｣

直毘人の言う面白いは、“痛い目を見れば面白いな”という意味だ。
直毘人とAの関係は、母親である綺羅の葬式以降最悪である。

夜蛾は｢縁起でもない。Aはまだ教育段階だ｣と述べた。

五条は結局面白くもない会議に飽きたのか、｢トイレ｣と一言述べると許可も得ず出ていった。
多分、あれは帰ってこないだろう。

会議は平行線の一途を辿る。


｢まぁ、どちらにせよ…｣

不毛な会話が続く中、京都校学長の楽巌寺嘉伸が言葉を挟んだ。

｢今回の件が誰であろうと、調査には行くのだろう？のう、夜蛾よ｣

楽巌寺が横目で夜蛾を見た。
夜蛾に向けられる数々の視線。
夜蛾は上層部の人間からすれば、五条家の嫡男は別としてまだ若造の部類だ。
向けられる視線は痛い。

何かあれば、責任は全てとってもらう。

そういう視線だ。

｢ええ、行きますよ。行って突き止めれば気が収まるでしょう｣

夜蛾はこの場にいる全ての人間に返すつもりで言った。

｢お前の判断、間違いでは無かった事を祈るぞ｣

楽巌寺が最後に返した。

名取吉祥への判断。
夜蛾は楽巌寺に何も返さない。



自分は、間違っていたのだろうか。



＿＿＿。


Aはコンビニ袋片手に夜の街を歩く。
本当は寮に戻らなくてはならないが、真っ直ぐ帰るのは癪だ。
少し遠いコンビニにでも行って、ふらふらと散歩でもしながら帰ろうという気まぐれから、Aは宛もなく歩いていた。

パックジュース片手に歩いていると、突然目の前を何かが駆け抜けた。


猫だ。
それも、怪我をした。

037：合縁奇縁→←035：責任転換

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す