694:堕天使と水中光芒 ページ48
_____。
生かすべきは、個人ではなく。
そうだ。
俺の意志さえ、旅団の意志さえ継がれるならば俺が死ぬことは何も問題ない。
覚悟ぐらい、とうの昔に決めた。
あの日ほど、俺の心が闇に近かったことなどない。
この程度の出来事で、旅団は止まってはならない。
死など、怖くない。
深い海の中に沈んでいくのと、そう変わらないだろ。
深い海に沈むのは、今の俺の状況とさして変わらない。
だから、俺にとっての死はとるに足らない事象だ。
皆で来い。パクノダ。
迷うな。
幼き日の自分が、何故か俺に向かって指をさしていた。
いつの間に。俺は、鎖野郎に拉致され、今は車の中に居るはず。
これは。まさか、走馬灯か?
内心、笑いが零れそうになる。
どんな状況でも、人は心理に削ぐわず走馬灯を見るんだな。
だが、どういう意味なのだろう。
俺に対して、指を指している。
いや。
お前が見ているのは、俺の後ろか?
指しているのは、俺の、後ろ?
後ろを振り向くと同時。
車のバックガラスが派手に割れた。
呆気に取られる鎖野郎。
運転する男が「何が起こってんだ!?」と声を上げる。
助手席の女が「だから、心臓の音が一個多いって言ったのよ…!」と。
煌めく無数のガラス片。
その程度、日常茶飯事と言わんばかりの様子で彼女は現れた。
俺の思考、今から起こる事象。
全てを破壊する勢いで、彼女はやってきたのだ。
「せいこ〜う!や、皆さんお揃いで」
A=ゾルディック。
彼女の名である。
考える暇もなく、車に押し込まれるクロロを見て気づくとAはハンドルを回していた。
バイクのエンジン音、アクセル、都会の中で音が轟く。
片耳には、まだイヤホンがついたままだ。音声も繋がっている。
『パク、これから一言も話すな』
ノブナガの言葉に、Aは脳内で状況を紐解く。
『マチ、お前は糸に集中しろ。メッセージを残す以上、必ずアプローチを仕掛けてくる。それまで、コイツらは大事な人質だ』
ゴンとキルアはまだ捕まったままなようだが、同時にクロロが拉致されたという事実は彼等にとってそれ以上の価値を産んでいる。
彼らの頭の中には、クロロの死の可能性が浮かんでいるはずだ。
それは、Aも同じであった。
パクちゃんにクラピカ君は標的を絞っている。
キル達の記憶を読んだパクちゃんは、鎖野郎の正体を知った。
だけど、ノブナガの言葉から推察するに喋らせない条件を出している。
1218人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時