691:月の子供 ページ45
ここじゃそれがかなりの救いであった。
この男が隣にいる状況で、消すかと訊ねた眼鏡の女がレオリオを殺しに行ったとして、自分達は逃げられるか。
答えは否だ。
まるで、隣に仕事モードの姉貴が立ってるみたいだ。
場に上手く気配を溶かしていて、異質さを一切感じさせない。それなのに、他人に隙を悟らせない。
コイツも、姉貴と顔見知りか?
アイツ、マジで姿現さねぇけどどこで何してんだろう。
「見せもんじゃねぇぞ!?あ?こっちの話だ馬鹿野郎。ったく、マヌケな手下のせいで俺のお先は“真っ暗”」
今の言葉、おかしい。
ゴンもキルアも、口裏を合わせずとも同じことを思った。
なぜなら、レオリオに手下なんてそんなものは居ない。
「いいか!?俺が“目ェ瞑る“のは今回だけだ!!次はねぇからな!!」
ロビーの中で、レオリオの怒号が大きく響く。
「よく聞け。“七時きっかり“だッ!それまでにホテルに来い!遅れたら、即刻クビだ!!」
機嫌を損ねた気性の荒い客。
今ホテル中の人間に写るレオリオの姿は、まさにそれであった。
あぁ、これから彼の手下がこっぴどく叱られることになるのだろう。気が滅入るほど罵声を浴びせられて。
否。
キルアとゴンはそうじゃないと確信した。
これは、全部自分達に向けたメッセージだ…!!
闇に乗じる。
任せろ。闇の中で命懸けの鬼ごっこなんて、こっちは悪魔みてぇな兄貴と姉貴で慣れっこなんだよ。
ごき、キルアは腕の間接を鳴らす。
関節を外して抜ける程度、キルアにとっては朝飯前だ。
それに、闇の中でも視界が正常なのは、恐らく訓練を重ねる自分のみ。
『さぁ、二時間に渡ってお送りしておりましたリクエストタイム。最後の曲となりました。PNチョンチョンさんからのリクエスト。MOONCHILDです。どうぞ』
ラジオが告げる。
ゆったりとした音楽が流れ出す。
残り五分。
ホテルに新たな旅団の人間がやってくる。
パクノダとノブナガ。この二人は、キルアもゴンも知っている。
残り三分。
ノブナガがキルア達を見つけて、嬉しそうにやってくる。
残り二分。
仲良くやろうぜ。な、団長。いいだろコイツら。
そう述べたノブナガに、団長と呼ばれた男は言う。
パク、もう一度こいつらを調べろ。と。
まずい。
パクノダが自分たちに触れる。
何を聞く?
何を隠しているかだ。
団長が言う。
残り一分。
刻、刻。
『それでは、また来週。JFNが七時をお知らせします』
時報を合図に、闇が辺りを包んだ。
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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時