688：替え玉 ページ42
＿＿＿＿。
音もなく戻ってくる銀髪の女の姿に、アジトで残る面々は扉を開けて入ってきたところで漸く気づく。
「A、悪いな。俺たちの分まで買いに行かせて」
外、雨凄かっただろ。
フランクリンが言う。
Aは、フランクリンの元まで行くと、ビニール袋から三つドリンク缶を取り出し「どっちがどっち？」と訊ねた。
「そっちが俺で、そっちがボノレノフ。残りは、ヒソカじゃないのか？」
「Aでも、忘れることがあるんだな」
そうだった。Aは、思い出したよう浅く相槌を打って、言われた通り二人に缶を手渡すと、踵を返してヒソカの横に腰を下ろした。
ゆったりと足を組みながら、無言でヒソカに残りの缶を手渡す。
「どうも♤」
ヒソカは受け取り、プルタブを開ける。
「声まで似せれるのか…♧」
独り言のよう、ヒソカは小さく零す。
横のAは、ヒソカへ目を向けることなく、小さめの口から淡々と言葉を吐き出した。
「長い時間は無理だけどね」
そう述べたAの声は、女であるはずだというのに男の声帯で告げられた。
Aより何倍も抑揚が少なく、無機質で機械的で色のない声音。
ヒソカは、ふぅんと横目でA＿＿＿＿もといAの姿をしたイルミを見ながら相槌を打つ。
「今度二人で並んでよ。それで、ボクの相手でもしてくれないかな♡」
「ぶっ殺すよ」
Aよりもストレートな罵倒に、ヒソカは目を細める。
全くボクに愛情の欠片もなく虫けらを見るような目で罵倒されてた時期を思い出すなぁ。
すると、イルミがため息混じりに呟いた。
「…姉さんが気の毒だ。よくこんな気持ち悪い視線向けられて、姉さん平気でいられるな」
「ま、ボク達って好き同士だからねぇ♧」
ヒソカが足を組み、その膝の上で頬杖を着きながらなんてことない調子で言うと、隣のイルミがぎゅるりと機械人形のように勢いよくヒソカへ顔を向けた。
「黙れ」
ヒソカだけが見える方向。
Aの顔半分が、イルミの殺気に比例するようボコボコと形を変えようと歪に動き出す。
ヒソカは、喉奥でククと笑って「皆にバレちゃうよぉ♤」とわざとらしく呟く。
イルミからしてみれば、Aの手伝いなんかで無ければここでこの男を殺していた。
フランクリンとボノレノフは、その凄まじい殺気に気づいているも、「まぁ、Aだしな」と良いのか悪いのか納得してくれた事で、中身はAではないという事に気づくことは無かった。
姉さん、それでいいのかな。
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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます！😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています！ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです！🤍 (3月31日 10時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！！😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした！これからも更新楽しみにしてます！ (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2024年1月23日 17時
