687：盗難女 ページ41
ふと呟いた矢先、Aは「ん？」と目を凝らす。
旅団の彼らが地下へ続く階段に足を踏み入れた姿が見えた。
「うそ、マジぃ！？」
Aは眉を歪める。
どこからどう見ても、あれは地下鉄への道ではないか。
これは、Aの単独行動だ。
彼らはAがついてきている事を知らない。
まずいな、Aは唇の裏で呟く。
行き先は分かってるが、今から急いだとして同じ電車に乗れるとは思えない。
仮に計画が変わった場合、一本遅い電車に乗ってしまえば見失う事になる。
ならば。
そんな彼女の視界に、旅団の跡を追う別の人物が飛び込んできた。
「あらあら、まぁ…」
Aは目を丸く見開く。
自身と同じようにフードを被っているが、あの後ろ姿は間違いない。
弟のキルアだ。
足の運び方が、自分とそっくりである。
「その隣は…誰かしら。ゴンくんではなさそう」
足の運びから見て、恐らく女だろう。
後ろ姿だけだから定かではないが、身体的な動きで大体の性別は検討がつく。
「しかし…キルが動いてるってことは……クラピカ君が動いてるってことよね」
やはり、事はかなりの混戦を極めているらしい。
どこかでクラピカとクロロがぶつかる事になるのは確実だろう。
「うかうかしてらんないわね」
Aは呟くと、辺りを見回す。
そして、何か目星のものを見つけたようで、屋上からそのまま音も無く飛び降りる。
スタ、と降り立ったのは人々が歩く道沿いであった。
ちょうど、Aが降り立った姿に出くわした、パン屋から出てきたお客はギョッと目を剥く。
しかし、そんな事を気にも留めずにAは、パン屋の目の前に駐車してあったバイクに近寄った。
「お、おい、姉ちゃん。それは俺のバイクだが…何か用か？」
パン屋から出てきた例の客が訊ねる。
Aは、人の良さそうな笑みを浮かべて「あぁ、貴方のなのね！」と振り向いた。
「丁度良かった、貸してもらえない？」
「貸し、は、はぁ？」
「返ってこないかもしれないけど…あ、そうそう。その可能性の方が高いから、これ。ここに電話して、好きなバイク請求して。現金でもいいけど」
そう言って、男の胸ポケットにAが一枚の紙切れを捩じ込む。
何を言ってるんだこの女は。
男は、顔を顰めたまま胸ポケットに捩じ込まれた紙切れを取り出しまじまじと眺める。
「A…ゾルディック…？殺し、屋ぁ！！！？？？」
ギョッとして顔を上げるも、既にそこに女はいなかった。
勿論、バイクも。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1218人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます！😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています！ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです！🤍 (3月31日 10時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！！😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした！これからも更新楽しみにしてます！ (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2024年1月23日 17時
