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678:一筋 ページ32

ヒソカの詩の一文に記されていた単語だ。
フランクリンは「ホームシックの事だろ」と返す。

Aは思わず「へぇ…物知り」と零した。
そんなAの横で、ヒソカがAに聞こえる程度に「どうも♡」と言葉を漏らす。

「…物理的に静かにさせられたいわけ?」

散歩前の犬みたいにワクワクするな。
Aは、キッとヒソカを睨んだのは言うまでもない。


「団長。どうする? ここに残るか。退くか」


シャルナークの訊ねに、クロロは答える。
雨音が先程より強くなっている。
外の天気はかなり悪そうだ。


「残ろう」


ここに。

彼の言葉を耳に、Aは足を組みかえる。

雨、止むかしら。
この室内に一つだけある窓へ目を向けながら、脳裏で独りごちた。

















「ターゲットはパクノダ一人」

ホテルのラウンジでクラピカが言う。

旅団を迎え撃つ作戦会議だというのに、こんなオープンな場でしていいのか。
レオリオは数分前にクラピカに訊ねたのだが、ラウンジはその心配がないほど閑散としていた。

なんだ、俺たちだけじゃねーか。
レオリオはラウンジに入るなり肩を竦めた。

「六時間後、作戦を決行する。奴らのアジトを見張る中継係がキルア。私の運転者がレオリオ。奴らの足止めがゴン」

最終確認だ、いいな。
と順に三人を見回したクラピカに、全員は勿論だと頷いた。

「クラピカ、」

ふと、ゴンは神妙な顔でクラピカの名を呼んだ。

「本当にいいの? 俺達に念の刃を刺さなくて。だってクラピカ、今俺たちに全部自分の秘密を話したんだよね」

俺、刺される覚悟はあるよ。
ゴンは自身の胸の上に手を置く。

ゴンのように行動までは出さなかったものの、キルアもレオリオも彼と同じ気持ちであった。
そのぐらいの覚悟を持って、このクラピカの話に乗っているのだ。

クラピカは、今一度彼らの顔を見回す。
そして、ふっと気の張った表情を緩めた。


「あぁ、いいんだ。これはゴン…お前の、いやお前達の覚悟に対する私なりの礼だよ。仮にお前達から私の秘密が盛れたとしても、もう何一つ後悔はしない」


先日のAとの会話が脳内で再生される。
ゴン君達に協力を仰いでから。それでも尚必要なら、私を呼ぶこと。

君に闇は似合わない。陽の光の方が合ってる。


「…」


A、私はいい仲間を持ったよ。


「じゃあ、行ってくる」

キルアは徐に立ち上がると、ラウンジから出て行った。
彼の背を見送る。もう、以前のように孤独の不安はない。

679:閃いた!→←677:ヒソカのシナリオ



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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時

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