675：成った日 ページ29
「…いいえ」
長いまつ毛が傘となり、Aの目の下にまばらな影を落としていた。
淡白なようでいて、掌を返さぬAを一層ミステリアスで艶やかに見せる。
「ないわ」
Aの落ち着いた声音は、その時やけにアジト内に響き、外の雨音の中に溶けるよう消えていく。
そうか。
クロロは、Aの言葉にそう返そうとしたのだが、述べる前にAの方が先に言葉を付け足した。
「…もう二十年も前の話よ。……あの占いは、私の初めて人間を殺した日に関わるから、だから…関係ない」
A＝ゾルディックが殺し屋としての日々を始めた日。
始まりの日。
幼き少女の倫理観は最初から壊れていたのだろうか。
それとも、この日に壊れてしまったのか。
伏せた瞼は既に持ち上がり、いつも通りのAが『おしまい』とでも言うように戻ってくる。
けれど、微かに下唇を噛んだAをクロロは一人目撃していた。
「分かった」
一言、そう締め括ると、クロロは皆に向かって「凡その状況が把握出来た」と改めて言葉を切り出した。
それ以上は掘ってはいけない。クロロなりに、Aの『時期が来たら話す』を信じる事にしたのだ。
自分に話す必要は正直言ってないのに、Aはそう言った。
Aのことを知れるなら、より一層知りたいと思っている。
出会ったきっかけとなったあの日。
夜のように酷く冴え冴えとし、氷塊のように冷えきった青い瞳を思い出す。その瞳が、今目の前に存在しているのだというのが、未だ信じられない。
Aと二人っきりで会話をすると、意識の半分が夢の中に居るような気分に陥る。
何がそんなに自分の興味を惹くのだろう。
その真相は未だ分からない。
ヒソカよりも、自分と会う方が早かったなら＿＿＿＿、
やめよう。
そんな不毛なことを考えるのは。
「赤目の客。つまりは、『鎖野郎』最低でも二つの能力を持つ。一つは、ウボォーを倒した能力。もう一つは、ヒソカの言動を縛る能力」
改めてクロロはヒソカの占い用紙に目を通すと、ふむと顎を撫でた。
「『掟の剣』…。文章から見るに、何らのルールがそこに存在すると思って間違いないだろう」
そう言って、クロロは自身の能力である『
「それを踏まえ、さらにこれは推測だが、ヒソカの体内には敵が仕掛けた何かが埋まっていると見ていい」
その発言に、旅団の面々はどよめいた。
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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます！😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています！ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです！🤍 (3月31日 10時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！！😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした！これからも更新楽しみにしてます！ (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2024年1月23日 17時
