672:悪魔の才能 ページ26
さて、どうしたものか。
腹の探り合いが始まろうとしたところで、ヒソカがAの手から自身の占い用紙を攫った。
「いいよ、見れば♢」
そう言って占い用紙を渡す。
パクノダは受け取るなり、ヒソカの占いに瞳を走らせた。
静かにそのパクノダの瞳を追うA。徐々にパクノダの走る瞳が速度を増して、最後の文章を読み終える頃には、「ちょっと皆見て!」と他のメンバーの方へ爪先を向けていた。
「…貴方、詩人にでもなったら?」
彼らの方へ体を向けたまま、Aがぽつと零すとヒソカは微かに笑って「じゃあ、次は君にラブレターでも書こうか?」と戯けて見せた。
馬鹿言わないで。言いつつも、Aは内心胸を撫で下ろしていた。
「赤目の客が月達の秘密を……?」
「達って事は一人じゃねぇな」
シズクの言葉に、フランクリンが付け足す。
どちらにしろ、“自分たちにとって不利になる“内容が記述されていることには違いない。
ヒソカの占いがどうやら普通ではないことに気づいたノブナガは、突然ガツガツと占いを読む輪に割り込んでいく。
Aの横で、ヒソカが徐に懐からトランプの束を取り出したことに、Aは察する。
喧嘩になるな、と。
「見せろ!」
乱暴にシャルナークの手から占い用紙を奪うと、急いでノブナガは用紙に瞳を走らせた。
そして、ものの数秒で彼の表情に険しい影が濃く宿る。
「ヒソカ…」
忌々しげに件の人物の名を呼ぶと、ノブナガは躊躇うことなく自身の刀を抜いた。
「テメェが売ったのか、ウボォーを」
青筋を浮かべるノブナガ。
素知らぬ顔をし、トランプを切るヒソカ。
そして、彼らの動向を他人事のようにただ眺めているクロロ。
三者全員にAは瞳を順に向けて、唇の裏で呟く。
まるで悪魔ね。
誰も気づいていない。
予想もしていない。
この隣の男のポーカーフェイスの裏は、今この場で誰よりもほくそ笑んでいることだろう。
そして、恐らく自分もここまで良くしてくれる彼らに、答えを話さないあたり、彼に倣って悪魔なのだろう。
魂を売ってしまったみたいなものだしなぁ、Aは他人事のように思う。
ノブナガの問に何も返さず、代わりに張り詰めた空気の中でヒソカのトランプを切る音がパチンと鳴った。
同時、ノブナガが怒りに声を絞り出す。
「そりゃ肯定っつーことでいいんだな!?」
抜いた刀片手に、ヒソカへと向かっていこうとするのだか、それをシャルナーク達が止める。
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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時