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668:約束 ページ22

「恋人の特権か、はたまたボクの特権か…♤」

剥く音が途絶えることなく響く。
幾つもの環境音の中で、剥く音だけが浮いていた。

「それとも、まだ待って欲しい?」

ヒソカの言葉に、Aがぽつと「意地悪」と零すとヒソカは喉奥で笑った。
そんな彼を、膝から少しだけ顔を上げて横目で盗み見ながらAは口を開いた。

「私の悪癖ってなんだと思う?」

「人に頼らないところ♢」

「……」

あっさりと正解を当てられて、Aは居心地が悪そうに眉間に皺を寄せる。
そんなに即答できるほどなのか。Aは問い詰めてやろうとも思ったのだが、それよりも先に言うことがあると思い直して頭の隅投げる。

「今朝方外に出た時、電話した相手にも同じこと言われた。それに、思い出せばヒソカ君にも前言われたことがある。……でも、辞め方が分からないの」

何を頼って、何を頼らなくてもいいのか。
悩み事の大半は自分の中で解決すればいい。
どうにもならなければ、話したところで誰にも解決は出来ないだろう。だから、仕方なく押し潰す。

そんなことを続けていたら、ついに今日爆発した訳なのだが。

「分からないけど、だから、試しにヒソカ君に話すことから始める…」

皮を剥く音が止まった。

「…ただ、あと少しだけ克服する時間が欲しい」

急がなくていい。
カイトが言っていたことを、今こそ実践するんだ。
後のことは、もうその時考えよう。

頭の中で、カイトの言葉が木霊する。
これから先も、その悪夢に囚われ続けるのかと。

「さっきの占いで、決定的なことが分かった。私の悩みは、思ってる以上に深刻みたい」

Aは、片足だけをぶらりと椅子から降ろし、どこか他人事のように言った。
そのくらい乖離しているように考えないと、また夢の中に飲み込まれてしまうような気がしたからだ。

仄暗い室内で、後ろを振り向くと何かがいるような。
そんな幻覚でも見そうになる。

「そうよね…いつまでも暗闇に囚われている訳にはいかないもの。ねぇ、ヒソカ君。全部話す、絶対に。時間はかかるけど、それでも」

Aは、ヒソカの方へ向くと、長くすらっとした小指を立てた。

「それでも、貴方に聞いて欲しいから。話せるように、約束させて」

私は、約束は破る人間じゃないの。

Aが、少しだけはにかむ。
大きな一歩だった。

ヒソカは、Aの笑みに応えるよう口元を緩めた。
片手を差し出して、それで、机から身を乗り出すとAの唇をふいに奪った。

669:ゴミみてぇなキス→←667:なんて事ない時間



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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時

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