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666:冷却 ページ20

____。


「取りに行ったら、沢山持たされちゃった♧」

戻ってきたヒソカは、両腕に山ほど物を抱えていた。

足音がしただけで、抱えていた膝から瞳を覗かせたAの瞳は、闇の中だというのに鋭くも光を帯び、まるで暗闇の森で得体の知れない動物に姿を捉えられた気にさせられた。

しかし、その瞳もヒソカが戻ってきたんだと分かると、すぐにナイフを研いだような光は瞳から消え、普段通りのものへと戻っていたのであった。

「まず、水ね。ペットボトル三つって、どう考えても多いと思わない?」

Aの座るパイプ椅子の横に設置された、丸テーブルの上にヒソカは置いていく。

「連中、君のこと心配してた様子でさ♢ 深く話されるの、君のことだから嫌と思って何も言わないつもりだったんだけど、詰められちゃった♧」

ヒソカは言いながら、テーブルにありとあらゆるものを置いていく。

「そしたら、汚れてるだろうからってマチが余ってたスーツ持たしてくれたよ♤」

後で着替えるといい。綺麗に畳まれたスーツに、Aは再び目頭が熱くなる気を覚えた。
鼻を啜って何とか堪える。

ヒソカは、そんなAの姿にくすりと少しだけ笑うと、彼女の前に立ちタオルを被せた。

「いつもと逆♡」

Aの濡れた髪を拭いてやる。

「…ヒソカ君は?」

「ボクはいいの♡ 言ったろ、いつもと逆って♧」

風呂から出て濡れっぱなしのヒソカの髪を見ると、Aはいつも「犬じゃないんだから!」とあーだこーだ言って、文句を垂れつつも髪は拭いてくれるわドライヤーまでかけてくれるわと何から何までしてくれる。

無論、最初こそ違ったが、今ではAに全てやって欲しい為に確信犯であるのだが。

くしゃくしゃとAの髪を拭いてやると、ヒソカは垂れ下がったタオルの上からAの両頬を包み、自身と視線が合うように見上げさせた。

「落ち着いた?」

「……だいぶ」

まだ通常通りのAは戻ってきていないようだが、酷く脅えたりしないあたり気持ちはかなり落ち着きを取り戻している様子だ。

さすが、ゾルディック家と言ったところか。
ショックなことがあろうとも気持ちの切り替えは、常人のそれを凌ぐ速さだ。

「良かった♤」

ヒソカは言うと、Aの額に触れるだけのキスをくれてやり、満足そうにして空いていた別のパイプ椅子に腰を下ろした。

Aは、恥ずかしさ半分罰の悪さ半分な気持ちで、ヒソカの唇が触れた額を撫でるとペットボトルを手に取った。

667:なんて事ない時間→←665:雨音と体温



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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時

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