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664:融解する贄 ページ18

「団長、他の奴らのを先に見ますか?」

パクノダの言葉に、クロロは辺りを見回した。
Aの紙に何が記されていたかは不明だが、この状況で全員の占いを確認するのは得策じゃないな。

「妙な混乱を招く可能性がある。…Aが戻ってきてからにしよう」

クロロは言って、そうだと漸くAの叩きつけられた紙に目を通した。
紙はすでにくしゃりと皺が刻まれていた。
微かに湿り気がある。占いに目を通した瞬間、Aが長いこと握りしめていたからだろう。

一瞬にして、Aの気を動転させる文。

多かれ少なかれ、Aには『ゾルディック家』だけが彼女を構成する要素ではない事にクロロは気づいていただろう。

元の能力者が生存しているにも関わらず、盗むも使用出来ない念。
早朝魘されていた謎。


好奇心がクロロの背を押す。


クロロは、気を押されるがままに文に瞳を走らせた。
同時。



「…なんだ、これは」



言葉が漏れる。











“闇の中で、指された指の方角へは振り向くな


そこに、屍はない


ただひたすらに、融けた赤子がお前を見ているぞ“

















だぁ、











「…っ、」

思わず吐き気を覚えて、Aは口を抑えた。
平衡感覚が狂った身体をなんとか廃ビルの壁に預けるも、立つのが精一杯だ。

頭の中で今朝の夢が何回も何回も何回も高速で流れては再生を繰り返す。
連続的に続く悪夢から逃げ出す出口が見つからない。


あんなの、占いなんかじゃない。
警告文じゃないか。


どんな拷問にも耐えられる訓練をしてきている。
毒を盛られようが、電気を流されようが、水の中に沈められようが、Aは誰にも助けを求めない。

だが、これは。

気持ち悪さと精神的恐怖、止まらない悪寒、強迫観念それら全てが一気に押し寄せ、Aの瞳から生理的な涙が溢れる。



無理だ、ごめんなさい、怖い、駄目、お願い、怖い、止まって、止めて、出して、ここから出して、怖い、ねぇ、お願い、出して、止めて、お願い、誰か、誰か、誰か、


助けて











「吐きなよ♢」

よく知る声が耳元で響く。
体温を持った片手が背を摩る。
身体を支えてくれる。

「吐いた方がいい。ボクしか居ないから♧」

Aは、その瞬間糸が切れたように吐瀉物を吐き出した。
抑えていた片手を汚し、涙がボロボロ零れる。
喉の奥が引き攣ったような痛みを呼んでくる。

「よしよし、可哀想に。怖かったね♧」

665:雨音と体温→←663:占いは口ほどに



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鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます!😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています!ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです!🤍 (3月31日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした!これからも更新楽しみにしてます! (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2024年1月23日 17時

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