648：一方その頃 ページ2
＿＿＿＿。
ホテルの一室で、キルアの怒号が轟いた。
「どうしてそれを俺たちに言ったんだ…！！」
対して広くもないその部屋では、キルアの声はやけに大きく響き渡った。
眉を釣り上げるキルアに反して、ゴンとレオリオはいまいち状況が読めないと言った表情で、立ち上がったキルアを見上げる。
キルアの目の前。
クラピカはと言えば、穏やかな声音で「何故だろうな…」と返す。
「蜘蛛の頭が死んだとわかって、気が抜けたのかもな…」
表情には微笑みが見えるのに、そう零したクラピカはまるで心だけが乖離しているようであった。
昨夜、クラピカはゴンに連絡を入れた。
蜘蛛の頭が死んだ、と。
それは、彼らもまた幻影旅団を追っているからという理由もあったのだが、一番は少し前にAに言われた言葉が胸中に引っかかっていたからである。
＿＿＿＿もっとレオリオ君やゴン君みたいに陽の光を浴びている方が貴方の性にあってる。
Aがその中にキルアを含まなかったのは、キルアもまた闇で育った人間だからである。
それでも、Aが『キルアのようにはなるな』とは言わなかったのは、彼は今クラピカとは逆の道である陽の光を浴びているからだろう。
光の世界にいた人間が闇に身を埋めることが難しいように、今まで闇の中に居た人間が光の中に足を踏み入れ変わろうとするのはそう簡単じゃない。
だが、それでもキルアは変わろうとしている。本当は苦悩があるのかもしれないが、ゴンとの生活を純粋に何よりも楽しんでいるのだ。
キルアの兄、イルミとAは双子だと言ったがえらく違うものだな。
焦燥しきったクラピカに、同僚であるセンリツは、ネオンの面倒は自分達が見ておくから暫く休んだほうがいいと短い休暇を用意してくれた。
クラピカは、その休暇を利用し次の日ゴン達に会いに行くことにしたのである。
驚いたことに、ゴンは自分に対し心配そうな声をかけることはなかった。
寧ろ、自分の身の上を誰よりも喜んでくれたことに、クラピカは心から安堵したのだった。
あぁ、Aの言い分は何ひとつ間違っていないんだな、と。
その後、レオリオとも落ち合うと、彼らが宿泊しているホテルの一室で『念』についての情報交換をすることになったのであった。
何故、自分達と同じ段階で修行したはずのクラピカが旅団を倒すことができたのか。
キルアが声を張り上げることになったのは、そのクラピカの『念』についてのことであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1218人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - めもめもさん» コメントありがとうございます！😭ここからはしっかりゾル家姉にも働いてもらって……と考えています！ぜひ、活躍お見逃し無く楽しんで頂ければ幸いです！🤍 (3月31日 10時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
めもめも - つづき気になりすぎてやばいです笑早く読みたいです✨ (3月31日 0時) (レス) @page38 id: 4f69df3854 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あめみやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！！😭🙌原作があるところまでとはなりますが、長々と続けていきますので是非以降もお楽しみください🤍 (3月21日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 今までで読んできた中で一番良い作品でした！これからも更新楽しみにしてます！ (3月21日 15時) (レス) @page36 id: ca00368d0e (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます。返信させて頂きましたので、そちらご参照頂けますと大変助かります。 (2月18日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2024年1月23日 17時
