119：初めての五条クン30 ページ9
「待って、なにそれ…。たった一人の家族って…じゃあ、あの婆さんは…？」
「正確にいうと、親戚ではあるんだ。だけど、どこでどう繋がってるかは分からない…」
「お前、親は…？」
五条が訊ねると、恵比寿は少しだけ間を開けて震える声で返した。
「…事故で、去年亡くなりました」
Aと五条の心が冷えていく。
「ここに来る前、川の音が聞こえたでしょ。すぐ近くなんだ。…対向車とぶつかって、二人が乗ってた車は落ちてそれで、」
恵比寿の言葉が詰まる。
思い出しているんだろう。その日の記憶を。
警察が、近所の住民が、友達の親が。
やってきて、誰もが自身の親を助けようとし、でも助からず。
沢山の人間が恵比寿を哀れんだが、あまりにも急な出来事に恵比寿の心は簡単には埋まらなかった。
「シバフが居たから、僕泣かなかったんだ。葬式の時は、皆泣かない僕を見て気持ち悪いって言ったけど…」
恵比寿は自嘲気味に笑う。
笑っていい事じゃない。笑わなくていい。君は偉い。
言葉が、Aの唇のすぐ裏までやってくる。
「あの老夫婦とは、その葬式で出会ったんだ…。引き取り手が無かった僕とシバフを引き取ってくれた。だけど…ッ」
恵比寿の小さな膝の上で拳が握られる。
「同情で僕らを引き取ってくれたわけじゃなかった…！自分たちに僕らが都合が良かったから、ただそれだけの理由で僕らを引き取った」
しかも。
そう零す恵比寿の声は、やはり震えていた。
「しかも…アイツら、勝手に僕たちの家に上がり込んで…」
ぼたぼたと恵比寿の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「……アイツらは、お前の家で何をしてんだ。本当の目的は、なんだ。…お前が言った、“しょうがない”って言葉に関わってんのか、それは」
「…アイツらは、人を喰う」
彼が顔を上げると、その瞳にはやはり涙が浮かんでいたが、先程まで泣いていたとは思えない気迫があった。瞬きを一切しない。
瞬きをした時、きっと自分は食卓に並ぶ人の肉を思い出してしまう。
「僕を使って、獲物を家に招くのが奴らのやり方だ。お姉さんとお兄さんも、その方法でこの家に呼ばせてもらった。…僕を恨んでもらっていい。だけど、僕だってこんなことしたかったわけじゃない…」
「…犬が、シバフが居るからか」
Aの呟きに、恵比寿は頷いた。
「僕が逃げ出せば、シバフは殺される。この部屋は、あの老婆しか開けられないんだ。だけど、それでも逃げたかった僕は、アイツらに条件を出したんだ」
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鼻毛太郎(プロフ) - ?さん» コメントありがとうございます！😭🤍強くてかっこいい傍若無人天上天下唯我独尊女ことギャル先輩、ぜひぜひ今後も彼女の活躍楽しみにして頂ければとっても嬉しいです！！ (2月21日 18時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - ギャル先輩かっこよすぎます😿💖 続き楽しみにしております🎶 (2月21日 13時) (レス) @page16 id: 0c670390f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - ありがとうございます💗💗時間なんていっくらかかっても大丈夫です！！！ほんとありがとうございます🫶 (11月11日 11時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴーまんさん» ぴーまんさん、改めてありがとうございます！🙌前回コメント頂いた際に知識不足でお答え出来ませんでしたので、ぜひこちら書かせて頂きます😭お時間少々頂きますが、暫しお待ちください…！短編で書かせて頂きますね…！ (11月10日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - リクエストすみません！🙇♀️🙇♀️無理だったら全然だいじょぶです👍🏻 (11月10日 15時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2023年10月21日 4時
