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118:初めての五条クン29 ページ8

「エビクン、君どうやってここに?」

殴られたことでギャンギャン再び騒ぎ出す五条の声をものともせず、Aは穴の向こうに向かって訊ねた。
覗くと、そこは家の裏になっているようで、Aと同じように地面に伏せてこちらを覗く恵比寿がいた。

「お、おい、お前その体勢やめろ…ぱ、ぱぱ、ぱ、パンツ見えてんぞ…!?」

「五条クン、童貞なのはいいから少し黙ってて。しょうがないじゃん、こうしないと外見えないんだから」

「どう…ッ、」

そんなはっきりとお前、俺の矜持を傷つけやがって…。
ぐぬぬ、と悔しさと羞恥と怒りに歯噛みするも、Aの豹柄黒レースパンツはロマンが溢れすぎている。
クソクソクソ、と葛藤したあと犬がじっとこちらを見つめていることに気づいて、五条は「見てねーよ!!」と犬に向かって吐き捨てると、視界に入らぬよう顔を背けた。

「あ、呪術師のお姉さん…!無事だったんだね」

Aの顔を見て、安堵の表情を見せる恵比寿。

「えっと、あの、僕、そのお姉さん達にあ、謝らなくちゃ、いけないんだ…!僕っ、自分のことばっかで、僕っ、あのっ」

矢継ぎ早にAの顔を見るなり述べると、彼の瞳に徐々に涙が溜まり始める。
ぎょっとしたAはすぐさま恵比寿を止めた。

「ちょ、待ちなってエビクン…!全然そんなんどうでもいいよ、なんか焦ってんのか分かんないけどまず落ち着こう!」

ほら深呼吸だよ、とAが恵比寿に促す。
すると、相変わらず青白い顔であったが、先ほどよりも落ち着きを取り戻し腕で目を拭った。

「う、うん…そうだよね。えっと、」

「そう、まずエビクンがどうやってここに来たかだよ。君、ここ穴があること知ってたの?」

「知ってたというか、その…」

恵比寿はしばし口ごもると、「そこに、犬がいるでしょ?バーニーズ・マウンテン・ドッグ」と述べた。
Aは、振り向いて恵比寿の言った犬を見る。
五条が最初の方で言った通り、やはりその犬はバーニーズ・マウンテン・ドッグだった。
しかし、なぜ君が知っているんだ。Aは今一度恵比寿に目を向ける。

「その犬は、僕のたった一人の家族なんだ…。名前は『シバフ』………お母さんとお父さんが、残してくれた兄弟なんだ…。僕は、弟に会うためにここにバレないように穴を開けたんだ。………あの老夫婦は、シバフを人質に僕に犯罪の片棒を担がせてるんだ…」

恵比寿から発せられた言葉に、なんだってとAと五条は顔を見合わす。

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鼻毛太郎(プロフ) - ?さん» コメントありがとうございます!😭🤍強くてかっこいい傍若無人天上天下唯我独尊女ことギャル先輩、ぜひぜひ今後も彼女の活躍楽しみにして頂ければとっても嬉しいです!! (2月21日 18時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - ギャル先輩かっこよすぎます😿💖 続き楽しみにしております🎶 (2月21日 13時) (レス) @page16 id: 0c670390f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - ありがとうございます💗💗時間なんていっくらかかっても大丈夫です!!!ほんとありがとうございます🫶 (11月11日 11時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴーまんさん» ぴーまんさん、改めてありがとうございます!🙌前回コメント頂いた際に知識不足でお答え出来ませんでしたので、ぜひこちら書かせて頂きます😭お時間少々頂きますが、暫しお待ちください…!短編で書かせて頂きますね…! (11月10日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - リクエストすみません!🙇‍♀️🙇‍♀️無理だったら全然だいじょぶです👍🏻 (11月10日 15時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月21日 4時

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