115:初めての五条クン26 ページ5
言葉が浮かんですぐに、いやいやいやと五条は頭を振った。
「五条クン?」
不思議そうに小首を傾げるA。
五条はすぐさま「なんでもねぇよ!」と荒っぽく言い放ち、「あーあ!」と暗い天井に向かって大きく声を上げた。
「こんなことになんなら、来るんじゃなかったぜ。全部あのガキのせいだ。次会ったら絶対ぇぶん殴ってやる」
「案外優しいね」
Aの言葉に、五条は「あ?」と眉を顰めて顔を向ける。
凄むと彼の瞳はより一層鋭い眼光をみせた。
元来、彼は美しい瞳をしているものの、目つきはそれほど良くない。
Aは、そんな彼の鋭い視線など気にも留めない様子で、寧ろケロリとした表情を見せながら言った。
「だって、嵌められたわけじゃん?君なら殺すの一言ぐらい出そうだなぁって」
「それは…ッ、」
それは。
最後にぽつと呟いて、五条は罰が悪そうに頭を搔いた。
横で寝そべっていた犬がどうしたのと顔を上げる。
何か言いたげな五条を前に、Aは彼の横で両足を抱えた。
「夏油クンとなんかあった?」
弾かれたように、五条はAを凝視した。
なんで。彼の口からは出ずとも、顔が物語っていた。
Aは、分かりやすすぎだろとカラカラ笑って言う。
「なんとなく。誰だって友達と喧嘩したらイライラすんじゃん」
「…」
喧嘩したまで分かってんのかよ。
罰が悪そうに五条は顔を歪め、そして短く息を吐き出した。
お前には関係ないと言ってやることも出来たのだが、出る算段もない、何もない部屋にいるのだ。
話す話題もないし、無言でただそこに居るよりはまだマシだろ。
「…ちょっと口論になったんだよ。俺達は非呪術師の平穏を守るために居るとか言い出して、如何にそれで世界が成り立ってんのかを講釈垂れてきやがって。それで、俺が『じゃあ、呪霊に捕まった一般人が居た場合、その一般人を助けるのかよ。そこで俺達が手を抜けば、俺達が死ぬかもしれないのにか?』って言ってやったらアイツ…」
平然とした顔で『そうだよ』と言った。
一般人一人と、その後の大多数を天秤にかけた時。
あの慇懃無礼の前髪男は、たった一人の命のために自分の命を捨てるのは当然だと思っているらしい。
「馬鹿だろ。俺達が死ねば元も子もねーんだぞ。俺の命は、そこらのガキよりも数億倍重い。俺が居なけりゃ、肩で風切って我が物顔で出てくるような奴らがゴロゴロ居る。なんでその俺が弱い奴らに合わせる必要あんだよっつったら、喧嘩になった」
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鼻毛太郎(プロフ) - ?さん» コメントありがとうございます!😭🤍強くてかっこいい傍若無人天上天下唯我独尊女ことギャル先輩、ぜひぜひ今後も彼女の活躍楽しみにして頂ければとっても嬉しいです!! (2月21日 18時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - ギャル先輩かっこよすぎます😿💖 続き楽しみにしております🎶 (2月21日 13時) (レス) @page16 id: 0c670390f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - ありがとうございます💗💗時間なんていっくらかかっても大丈夫です!!!ほんとありがとうございます🫶 (11月11日 11時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴーまんさん» ぴーまんさん、改めてありがとうございます!🙌前回コメント頂いた際に知識不足でお答え出来ませんでしたので、ぜひこちら書かせて頂きます😭お時間少々頂きますが、暫しお待ちください…!短編で書かせて頂きますね…! (11月10日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - リクエストすみません!🙇♀️🙇♀️無理だったら全然だいじょぶです👍🏻 (11月10日 15時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月21日 4時