【呪術廻戦】呪術とギャル-0.6-

123：初めての五条クン34 ページ13

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中の様子が可笑しいと言え。


Aは恵比寿にそう手短に伝えた。
全部私が何とかしてやる。君はそれだけすればいい、と。

Aが起こした一連の流れに、五条は当然呆気に取られていた。
為す術のない状況は、まず彼が携わった任務ではなかったからだ。
それは彼の対応が良かったからという訳ではなく、五条悟という男は己の力に正直で、まず被害者を助けてやるという事よりも欲しいままに打ち負かすという気持ちが先行しているからである。

終わりよければ全てよし。
死にたいやつだけかかってこい。

そういうスタンスでいて、どうして今まで被害が出なかったのか。

無論、それは偶然であり、彼の思想とは正反対の同級生“夏油傑”が全てカバーしていたからだ。
そして、夏油と喧嘩をしてから受けた任務が例の夜蛾に報告書で怒られていたアレである。


カバーしてくれていた夏油もいない。
自慢の術式は、老婆の作り出した札で封じられている。
負ける可能性の多い不確定要素はなるべく試したくない。


なぜなら、自分がここで死んだ場合、世界レベルの惨劇が引き合いに出されるから。




「おい、ブスッ！！」

「ブスぅ！！？」

老婆が迫り来る直前、恵比寿に言葉を残したAの肩を五条は取り乱した様子で掴んだ。
さすがにこの状況で真っ直ぐディスられると思っていなかったAは、片眉をあげて素っ頓狂な声をあげた。

しかし、五条は自身の放った言葉も、今お前ブスって言った！？ と詰め寄るAも気に留めず切羽詰まった表情で言葉を吐き出す。

「お前、自分に任せろって…この出られもしない状況でよくそんな言葉出せたな！？クソッ、イカれてるとは思ってたが、ここまでとは思ってなかったぜ…！」

「お前悪口だけならノーベル賞取れるぞ」

「無責任、無能、雑魚、ブス！！！」

「人の心とかないんか、アンポンタン」

怒りすら湧いてこないよ、とAは罵倒のオンパレードを繰り広げる五条に呆れた面持ちを向ける。
五条はといえば、まるで聞いちゃいない様子でシバフのくびに腕を回すと「食べられるなら、お前先な」と倫理観もクソもないことを言っていた。

この男…。エビクン聞いてたら泣くぞ。
Aは、短く息をつくと自身のこめかみをトンと叩いて言い放った。




「五条君、勘違いしてるようだけどよぉ。この私が、なんの策もなく啖呵切るわけねーだろ」




立ち上がるA。
その姿が、なぜだかやけに輝いて見える。

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