605:命乞いはお早めに ページ9
「黙って両手をあげろ」
スーツを着た男がAに低く命令する。
窓ガラス越しに見ると、Aはいつの間にかマフィア達に周囲を囲まれてしまっていた。
しまっていたというか、分かってて囲ませたんだけどね。
正直に両手をあげてみせながら、Aは背を向けたまま微かに舌を出してみせた。
「お前一体何者だ。前を向け」
マフィアの中の一人に告げられ、Aは黙って正面を向いてやる。
殺気立った男達は、Aの全貌に思わず「おぉ…」と声を漏らしかけたが、すぐにかぶりを振って自身の仕事を思い出した。
「ここで何をしている」
「一般人…には見えないが、まさか幻影旅団じゃないだろうな」
「雇われた殺し屋です」
集まった全員に銃口を向けられながら、Aはいつも通りのさっぱりとした声音で答えた。
すると、男達は訝しげに片眉をあげ「雇われた殺し屋ぁ?」と復唱する。
「顔写真見せられたが、女なんて居なかったぞ」
「え、顔写真なんて撮ってたの?」
しまった、カエル頭どころかそんなの撮ってすらない。
多分クロロのところに顔を出した時だな。
Aはすぐさま察したが、そう言われてしまったら返す言葉もない。
「おい女、ますます怪しいよなぁ。なんで雇われたはずなのが顔写真に載ってねぇんだ?」
自分より身長も体格も大きな男が詰め寄る。
そう言われましても、とAの言葉を聞く気など更々なく、男はAの頬に銃口を押し付けるとニタニタ笑ってみせた。
「まぁ、口だけじゃ分かんねーからな。ちと、持ち物検査させてもらおうか。ん?なぁに、少し体触ったり服脱いでもらうだけで、死にはしねーから安心しろ」
男の銃口は、Aの頬を滑り胸元へ押しつけられようとしたその時。
「はぁ、何もしなきゃ見逃してあげたのに」
ぽつ、Aの呟きに、男達が顔を歪めた途端。
何かスイッチが入ったようAが口の端を吊り上げる。
「『エデン』」
Aの口から言葉が漏れた時、既に彼女は男達の前から姿を消し、また消えたと思ったその時には、既に銃口を突きつけていた男の首筋に氷で出来た刃物を突き立てようと振りかぶっていたところであった。
男達はその一連の動きに一気に表情を青ざめさせる。
一体この女、あんな至近距離で銃口を当てられていたにも関わらず、どうやって背後に回り込んだんだ。
「やめッ_____」
男の命乞いが断末魔へ変わるまで数秒。
男の断末魔は、突如鳴り響いた着信音に阻まれる。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時