603:打ち合わせ代金 ページ7
私たち気が合うじゃない、とAが言うと、クロロは爽やかに笑って「はは、結婚でもするか?」と軽口を叩いてくる。
すぐさまAは、瞳を皿のように細めて
「それ、冗談でもヒソカ君の前で言わないように。血走った目で詰められるわよ」
とクロロに言ってやると、彼は顎に手を添えて「それはダルい」ときっぱり言い放った。
彼にしてはらしくない口調だったので、きっと本音が出たのだろう。
「というか、イルミに依頼をしていたの知ってたのか」
改めて切り出したクロロ。
「そりゃ、双子だもの。ゾルディック家を仮押さえなんて贅沢だことって言ってたのよ」
「俺なりに考えがあってのことだったんだ」
まさか、自分の身を守るためだとは思っていなかったさ。
クロロは肩を竦めて言う。
「今からイルミに言っても間に合うもんか?」
「ここに来る前に、事前に打ち合わせ済みよ」
満足気に言ったAに、クロロは思わず「さすがだな…」と感嘆の音を吐いてしまう。
なんて仕事ができる女なんだ。やはり、自分の目に狂いはなかったな。
「しかしアレだな、」とクロロは半分までスパークリングを呑んだとこで口を開く。
「その分、マフィアの均衡は崩れるんじゃないのか?いいの?」
「殺してほしいって依頼をしてくる人間は、別に『十老頭』だけじゃないから大丈夫よ。案外いっぱい居るもんよ、殺しを依頼する人間って」
物騒な世の中ねぇ、と他人事のように言えるのはAだからなのだろう。
Aが言いながらチラリと店の出入り口に目をやると、漸くネオンの戻ってくる姿が見えてきた。
微かに前髪を直す姿に、一応歳上で優しげな男には見えるものねと横目でクロロを見遣る。
「それじゃ、そういう事で。あとはこっちでバックアップするから、好きに動いてもらって大丈夫よ」
Aは立ち上がりながら続ける。
こんな姿をネオンに見られては面倒になるので、さっさと立ち去ることにしたのだ。
「それでは」なんて、わざとらしく会釈をしその場から去ろうとすると、ふとクロロがAを呼び止めた。
何、とAが振り返ったその時、クロロがAに屈んでと指先で示す。
「…?」
彼の指先に応えてやると同時、胸元のシャツの隙間にクロロが万札を一枚差し込んだ。
「チップ」
「別にいら、」
言いかけた矢先、丁度ネオンが戻ってきて言葉を阻まれてしまう。
思わずAはじとりとした目でクロロを睨んでやった。絶対断れないタイミング見計らったな。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時