602:暗殺 ページ6
「それで、やっぱり考え直した事があるのだけれど」
くるん、と片手でポニーテールを跳ねさせてAが続ける。
「私の親族から貴方を守るというのは無理があるわ。ましてや、父親と祖父からなんて」
「そう上手くはいかないか…」
クロロは肩を落とし、ワイングラスに口をつけた。
A本人が言うなら、真にそうなのだろう。
仕方なしに今からでも別の策を練ったほうが懸命か、クロロが思った矢先にAが言葉を付け足した。
「でも逆に、私の親族としか鉢合わせる事が無いようにしたい」
クロロは、思わずワイングラスに口をつけたまま眉を開いた。
それはどういう意味だろうか。単純に考えると、呼ばれた殺し屋達の中に出会わせたくない人物でも居るということだろうか。
すると、クロロの表情を読み取ってか、Aは言葉の中身を淡々と解説しだした。
「殺し屋自体は、正直あなたと対面したとこでそこまで脅威じゃないわ」
クラピカ君は別として。
最後に付け足した言葉は、唇の裏側までに留めておく。
「でも、万が一ってあるでしょ。私の家族と他の殺し屋が同時にあなたを狙う状況に陥った場合、場はかなり混乱を極めることになる」
「君が殺し屋を殺してくれればいい」
「はぁ、あなた簡単に言うわね。ゾルディック家って快楽殺人集団じゃないのよ?標的以外はなるべく殺したくないの。ヒソカ君と居るからって、同じにしてもらっちゃ困るんだから」
私たち、仕事でやってんのよ。Aは呆れたとクロロに言ってやる。
それに、クロロには勿論言わないものの、最も最悪な状況はその場にクラピカが居た場合である。
Aは出来ることなら、クラピカもクロロも死んでほしくはないのだ。
二人の思想も否定しないし、それ以前に暗殺者であるのに随分世俗的なことを思うものだとAは他人事のように思う。
ネオンはまだ戻ってこない。
あの感じ、このまま逃げたというわけでもなさそうなので、クロロの対応に少し驚いたのかトイレで化粧を直しているかのどちらかだろう。
Aは店の入り口を確認して、「そう時間もないから手短に話すわね」と口早に述べた。
「ゾルディック家のルールとして、ひとつだけ暗殺を中止できる方法があるの。それが、依頼主が任務中に死亡した場合は、報酬を払う人間が居なくなるから自動的に中止となる」
「ということは…イルミに依頼した内容が生きてくるってわけか」
「そう。『十老頭』の暗殺をね」
1120人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時