【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-13-

640：ヒアソビ ページ44

見たいだろ、目が覚めた時芋虫みたいにじたばたするとこ。

にっこり笑って言うヒソカに、クロロはその姿を想像してみる。
顔が良くてツンと澄ました女が、「なんじゃこれはぁぁぁ！！？？」と叫びながらジタバタしている姿。

「ヒソカ、もっと強めに巻いとこう」

Aなら窒息しないだろ。
寝こけるAを二人の男がしゃがんで囲み、ぐるぐると巻く姿は中々異様だ。
Aが起きていれば「鬼かアンタら！！！？？？」と叫び、数秒後には怒りの鉄槌が飛んでいるところだろう。

二人で、もっとこうしようと言い合っていると、ふとヒソカが口を開いた。

「言っておくことないの、ボクに♢」

「…そっくりそのまま返そうか。言いたいことないのか、俺に」

一拍設けて、クロロは返した。

「それとも、聞きたいこととか」

「ふぅん。優しいね、団長。そのために追いかけてきてくれたの？」

ヒソカの表情は、普段通りの読めないニヤついた表情に戻っていた。
クロロも同じく、何を考えているのか分からない表情を携えてた。何も言わないクロロ。
沈黙をAの寝息が微かに埋める。

先に言葉を返したのはヒソカの方であった。

「ないよ、聞きたいことなんて。例の相談内容を団長から聞いたところで、A本人から聞かなきゃ面白くないし♧」

ヒソカという人間は、盤上の上で行われる一対一のゲームを好む。
Aが立つ盤上では、きっとそこには誰も介入させないつもりなのだ。
攻略本なんて以ての外。


だけど。


「ヒソカ」


いつも通りの淡々とした声音が紡がれる。
立ち上がったクロロに釣られるよう、ヒソカも立ち上がる。




「あんまり隙を見せると貰ってくぞ」




笑わないクロロ。
ヒソカは、そんな彼を見て喉奥でくつりと笑ってみせた。




「本気じゃないなら、火遊びはしない方がいいよ♤」



気づいたら、いつの間に取り返しのつかないことになってるかも。
その言葉、本気か揶揄いか。それとも忠告か。

クロロはその言葉に何も返さない。



















「そっかぁ、お腹に赤ちゃん居るのね！」

ゾルディック家の温室で、幼い少女＿＿＿Aは執事のまだ大きくない腹を摩った。
舌っ足らずな口で、大人びた言葉遣いをするようになったのはまだ最近の出来事だ。

執事ははにかみながら、「Aお嬢様に撫でて頂けるなんて、光栄です」と同じように自身の腹を摩る。
執事の摩る手は何故だか震えていた。
それに声も。

相手はたった四歳だというのに。

641：過去回想→←639：穴だらけ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す