601:占い ページ5
ちなみに、とAはクロロのスパークリングを指さす。
「それは毒味済みだから、飲んでも大丈夫よ」
「Aが作ったんじゃないのか」
「カクテルだけね」
あなたのを注いだのは彼。Aが、カウンターの方へ顎をしゃくると口ひげが生えた男の店員が手を振ってきた。
「彼、あなたの顔タイプらしいわよ」
Aの付け足した言葉に、思わずクロロはグラスをもったままカウンターの男を二度見する。
目が合うと、彼はカウンターに肩肘をつきウィンクをひとつしてきた。
「…急に飲みづらくなるな」
毒じゃなくて、寧ろ別の何かが盛られてそうだな。
Aが確認したとはいえ。
そんなクロロの代わりにカウンターの男へAが手を振ってやる。
「というか、飲んだのか?」
「毒耐性あるから大丈夫」
からりと笑い、なんてことないように言うAに、アルコールが弱くて毒が平気なのはどういう理屈なんだと思わずクロロは思う。
「それで、そっちこそどうなの?」
突然切り出したAに、クロロは「何が」と不思議そうな顔をすると「泣いてたじゃない」と付け足した。
なんだ見てたのか、罰が悪そうに顔を歪めるクロロ。
辺りを一瞥し、ネオンがまだ帰らないことを確認すると、クロロは先程の占いの話をAへした。
「____だから、ウボォーギンが………ウボォーさんが死んだっていう事実が確定したんだなと改めて感じて、」
Aは、クロロの話を黙って聞いていた。
口を途中で挟むことなく、じっと。
きっと、彼は泣いた話を団員に話すことは無い。
淡々と静かに冴え冴えとした態度で、まるで自分のことじゃないように占いの内容を語るのだろう。
団員ではない、名も無き関係であるからこそAには話すことができる。
「それで、気づいたら自然と______い゛ッ」
ぶにぃ、と話の途中で不躾にも片頬をAに抓られる。
すぐ離されたものの、あまりの唐突加減にクロロは「今かなり強めに抓ったな?」と頬を摩る。
「喝入れてやったの。悪人は悪人面してて貰わないと困るのよ」
Aは、そう言って頬杖をつく。
「じゃないと、私を選んだ意味がないでしょ」
貴方が悪人だから協力してるの。
私も貴方も悪人だから、こんな所で弱くなっちゃダメ。
Aの言葉を前にして、クロロは思わず面食らう。
心臓がチカチカする。照れ隠しか、平静を保つためか、「ポニーテール似合うな」と何故だか脈絡なく言うと、Aは笑って「当然」と返した。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時