【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-13-

633：へべれけでまかせ ページ37

「自分の感情に常に最適解を出すってどうしたらいいのかしら」

酔って据わった瞳で遠くを眺め何を言い出すかと思えば、Aにしては本当にらしくないことを言うではないか。

思わずヒソカは「本当にらしくない話が出てきたな♢」と思ったままを口走ってしまう。

「うるさい。酔ったってことにして聞いてやるって言ったじゃない」

ぷくぅ、と今の私は少しでも指図されれば気を損ねるぞと言わんばかりに頬を膨らましAは言うのだが、赤らんだ顔と据わった瞳が酔っぱらいのそれだ。

もしや、本当に酔ったせいになんざしなくても、そもそも本当に酔ってるんじゃないだろうか。
へべれけからでるでまかせ。

明日には何それなんて言わないだろうな。

人のことは言えないが、Aは自分と同じ変化系なのだし。

「あぁ、うん…そう言った。うん…♧」

これ以上何も言うまいと適当に相槌だけを打ち、ヒソカは続けてとAにその先を促した。

「自分に振り回されるって辛いことこの上ないわ。だって、誰のせいにも出来ないし、かと言って一番理解するには難しい相手だし」

割り切れないじゃない、原因が自分だった場合って。

Aに言われて、ヒソカは立ち位置を自分に置き換えAの言葉について空で考えてみる。

「どうして途端にこんなこと考え出したんだろうって、今日ずっと思ってるの。内心、むしゃくしゃしてる。だから、さっきビルで絡まれたマフィア連中を必要以上に嬲ったんでしょうね」

どこにも当たることが出来ないからって、大人気ない。
Aは自分に辟易した様子で呟いた。

「自分の持つ感情に最適解が出せるなら、こんな気持ちにならなくて済むのに。まるで、心と体が勝手に乖離しているみたい」

尻すぼみに言葉は小さくなる。
Aはついに両膝を抱えて、その膝の中に顔を埋めた。

「じきに、私が私じゃなくなるんじゃないかしら。別のモノに支配されたりして……」

ぽつ、とAは呟くと、その後一呼吸間をおいて膝から顔を少しだけもたげて「はい、弱い私はもう終わり」と言葉を締め括った。
言葉にしてみてスッキリでもしたのか、それとも無理矢理自身から切り離そうとしてるのか、Aは楽な体勢に戻すと缶ビールの中身を全てグッと煽った。

そんなAをヒソカはじっと見ていた。

普段のヒソカなら、こんな言葉を吐かれれば飽きただの面倒だのを口走り、大事なモノだったはずなのに数秒後にはゴミと同等の扱いをしているだろう。

634：ぐぬぬ→←632：らしくない話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す