632：らしくない話 ページ36
無論、それは逆も然りというわけで。
「それ、私と一緒の缶ビールだから」
缶だと大概『Aと一緒のやつでいい』って言うものね。と、付け足してAは缶の口からアルコールを煽る。
「珍しいね。君が幾つか飲んだあとまだビール飲んでるの♧」
「盗ってきたって言ったやつ漁ったらビールが九割だったのよ。私も行けば良かった…」
「そういうのも君出来るの？」
あんまり聞いたことないけど、プルタブを上げながら言うと、Aはほろ酔いのまま平然とした顔で「まぁね」と頷いた。
それから、少しだけ記憶を辿るよう遠い目をして言う。
「昔家出をした時、暫くは一人で食いつなぐしか無かったから多少ね」
初めて聞いた話だった。
そういえば、Aの過去の話は色々聞いたことはあるが、天空闘技場から飛び出した期間から師に合うまでの空白の期間、どう生活をしていたかは聞いたことがなかった。
てっきり、すぐ師と会えたものだとばかり思っていたのだが、それなりに過酷な期間もあったようだ。
「…君の生命力がやたらと高い理由が垣間見えたな♢」
「そりゃ、人は生きようとするとなんでもやりますから」
二人の前では、旅団のメンバーが騒がしく飲み食いをして、今日の話や昔の話に花を咲かせていた。
酔いが回っているからか、まだ誰もAが抜け出したことに気づいていないらしい。
「ヒソカ君も得意？そういうの」
「くく、奇術師に不可能はないからね…♡」
愉快そうに笑ってヒソカが言うと、普段とは違ってAが緩く笑って「そうよね。貴方に不可能はないものね」とヒソカへ顔を向けた。
それが凄く意外だった。
いつもなら、Aは「はいはい、聞き飽きたから」と呆れたように受け流すはずだ。
本当のところはどうなの。言いなさいよ。と。
缶ビールを持ったまま、ヒソカはじっとAを眺める。
Aは視線なんぞ気にもせず、ぐっと缶を煽ると蕩けた顔のまま自身の両膝に肘を乗せ頬杖をついてみせた。
「らしくない話していい？」
「いいよ。酔ってるってことにしといてあげる♤」
普段と何処か違うなと思ったら、どうやらこの言葉の伏線だったらしい。
素直に言えばいいのに。そういう所可愛いよね、君って。
Aの興を削ぎそうなので、ヒソカは言いかけた言葉を呑み込んでAの言葉を黙って聞くことにした。
なんだか、以前の呑み友達だった時を思い出す。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです！ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (
レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます！🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです！！🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました！本当に面白かったです！続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます！😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…！ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜！先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです！久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2023年10月15日 14時
