630：惑い惑わせ ページ34
私もヒソカ君も。
Aは、自嘲気味に笑いながら言葉を切り出す。
「ヒソカ君は、私の何が好＿＿＿＿＿＿＿＿」
言いかけた時、タイミングが良いのか悪いのかマチが遠くからヒソカを呼んだ。
必要があって呼んだのだろうが、Aとヒソカが話し込んでいる姿を見て、「あ、」と小さく彼女の口が呟いたのが見えた。
「今行く」
Aがヒソカの代わりにマチへと声をかける。
了承したものの、それ以上水を指すつもりはないとマチはAの言葉に片手だけをひらりとあげて、元の場所へ戻っていく。
「A、君の言葉待つけど♤」
「いいわよ、行ってあげて。大した話じゃないから」
そうAは笑って言ったが、ヒソカは納得のいかない顔を見せていた。
「A、」と少しだけ間を空けて呼んだ。
覗き込んだヒソカの瞳が、髪の隙間からAの瞳を射止める。
「もっと欲張っていいよ♧それとも、ボクに飽きちゃった？」
「そんなわけない…！だって貴方は私の、」
咄嗟のことにAらしくもなく声を上げる。
しかし、途中でその言葉はヒソカによって遮られてしまったのだった。
口の端に触れる程度のキスを落とすと、Aの呆気に取られた顔を見て喉奥で愉快そうに笑う。
「知ってるよ。からかっただけ♡」
Aに言い残すと、ヒソカはそのまま去っていってしまった。
心臓の喧しい音だけが残っている。
ヒソカ君があんなことを口走るなんて思っていなかった。
珈琲を啜ると既に冷たくなっていて、口の中に酸味だけが広がる。冷たいのに、身体は熱いままだ。
「…はぁ」
ため息を吐き出す。
いいのか悪いのか、Aの周りには誰もいなくなっていた。皆、オークションの方に出払ってしまったらしい。
結局、ヒソカ君に聞けなかったな。
「臆病なのは私の方かぁ…」
悩み事がいっぱいだ。
あんなに私を追い回していたというヒソカ君なのに、今じゃ私の方がヒソカ君を好きなんじゃないかと思ってしまう。
人を好きになるってこういうことか。
如何に今までの恋愛が惰性であったのかを思い知らされる。
くっついて終わりというのが恋ではない。
その先もいくつも課題があるのが恋なのか。
ううん、Aは唸る。
ふと、頭にクロロの姿が過ぎった。
自分とよく似た今まで出会ったことの無い人間。
彼なら、この悩みに上手く答えてくれるんだろうか。
外では競売の盛り上がりが終盤にさしかかろうとしていた。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです！ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (
レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます！🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです！！🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました！本当に面白かったです！続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます！😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…！ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜！先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです！久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2023年10月15日 14時
