【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-13-

600：抜群ウェイトレス ページ4

ネオンの言葉を片耳に、クロロは紙に記された文章に目を走らせた。

いつも通り、自身の占いに目を通す際は皆沈黙になる。
その沈黙に手持ち無沙汰さを感じながら、ネオンは椅子の下で足をぶらぶらと揺らしクロロが沈黙を切るのを待っていると、突然目の前でクロロが涙を流し出した。

思わず、ネオンはギョッとしてしまう。

喚くわけでもなく、ただ静かに自然と漏れ出たような涙を前にして、ネオンはどうしていいか分からなかった。
ただただ焦ることしか出来ない。

「君の占い凄いね。当たってるよ」

袖口で涙を拭って、なんとか平静を取り戻そうとクロロは先程と変わらない声音で述べると、ネオンへ占いの一節を訊ねようと紙を差し出そうとした。
けれど、ネオンは彼の言葉を聞く前に「だめだめ、言わないで！」と前のめりになって遮る。

「わ、私、自分の占いって一切見ないようにしてるの…！その方が当たるような気がして、あの、私、ちょっと外の空気吸ってくるね…！」

そう口早に言うと、ネオンはクロロの了承を得る前にバーから出ていってしまった。
少々呆気に取られた様子で、クロロはそんな彼女の背を瞳で追う。



「お持ち致しました。それで、他にご注文は？」


クロロの視線を遮り、ネオンと入れ替わるようにしてやってきたのは例の店員だ。
目の前に白のスパークリングが置かれたのを確認して、クロロは視線を上げて例の店員へ言葉を返す。

「運ばれてきたばかりだし、追加注文は特にないけど」

「それは失礼致しました」

軽く頭を下げ店員は踵を返したところで、クロロが「いや、ある」と足を止めさせた。

「例えば、君を注文したら慰めてくれるのかな」

頬杖をつき、首を傾けにこりと笑って言ってやると、店員は貼り付けていた営業スマイルを顔から綺麗さっぱり消し、代わりに呆れたと分かりやすくため息をついてみせた。

「はぁ…ナンパしちゃダメって言われてたの忘れたわけ？それとも、もうあの女はナンパした事あるって言ったの？」

普段と変わらない口調に、クロロは肩を竦めながら「まさか。甲斐性ない男だと思われても困る」とわざとらしく返す。
すると、店員＿＿＿＿というか、もうお分かりの通り、店員に扮したAはついに「呆れた」と口に出したのだった。

「で、その格好は？」

クロロに断りを入れるでもなく、先程までネオンが座っていた席に腰を下ろすAへ訊ねる。

「潜入よ、一応ね。貴方の事護ってあげる身だから、様子を見に来たのよ」

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