625:偽装競売 ページ29
そして、見つけるなり大股で急いでヒソカの目の前へやってくると、Aは先ほどよりもハッキリした声音で言う。
「事故だから!!!!!!!」
「あ、あぁ、うん…?え、何が???」
一体なんのことやら。
まだ状況が飲み込めていないヒソカは、疑問符を浮かべて周りに視線だけで訴えるも、周りも何も知らず肩を竦めるばかり。
目の前のAは、ヒソカにも弁解の意を見せられたため満足気である。
それがより一層ヒソカに疑問符を浮かべさせるのだ。
「A?」
名前を呼ばれ、Aは我に返る。
呼ばれたら彼の顔を見てしまう。染みついた流れと反射で、Aはヒソカの顔を見上げた同時、途端に忘れていた先程の上階で起こった出来事を思い出してしまう。
「ぉ…、わ…」
ぐん、と心臓が体が頬が熱くなる。
当のヒソカは平然とした顔なのが、より一層Aを追い詰めた。
Aは急足で、マチの方まで戻ると彼女の両手を握って言う。
「マチ、私の頬を思いっきりビンタして」
「A??????????」
相変わらず、美人のくせに様子のおかしい友達を前にして、マチは本格的に彼女を一度病院で診てもらおうかと考えたのであった。
「それで、団長。どうする?」
シャルナークが訊ねる後ろで、マチの痛烈な平手打ちの音が鳴る。
「くぅ、痛い」なんて、振り絞った子犬のような声音には最早何も言うまいとクロロが「ふむ、」と呟きながら立ち上がる。
「コルトピ、例のもの用意できるか?」
「うん。生命体じゃなければ、もちろん」
片手を見せるコルトピに、クロロは「十分だ」と返し額の包帯を解いた。
Aが自身の片頬を摩りながら、パチンと指を弾くとクロロの頬は元通りに戻る。
頬どころか、全身の傷も。便利な能力だな、全く。
「それと、娘の乗った救急車は襲うな」
舞台裏まで活気ある声が響いてくる。
木箱の上に座りながら、Aは紙タンブラーに入った珈琲を啜った。
一旦、自身の仕事を終えたA。
旅団はその後、宝から司会者まで全てを乗っ取り競売を進行させた。
ただ、何名かは顔が割れているので競売に参加はせず、専ら裏方に徹する者も見受けられた。
Aもその一人だ。
「珈琲、口に合いそう?」
慣れた手つきで携帯を操作して、気を利かせたシャルナークがAに訊ねる。
「Aが居なかったら死んでたって団長言ってたよ」
「私を褒めすぎよ」
Aは笑って肩を竦めた。
1120人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時