619:末っ子 ページ23
____。
誰もいない廊下に駆ける音が響く。
Aは、あの後すぐに彼らに父親達が向かった方向を教えてもらった。
正確に言えば、Aの脅しが彼らに効きすぎたというだけなのだが、それでも脅しに萎縮し何も言わなくなるということは無かったあたり、腐っても裏社会の人間だなとAは思った。
彼らが教えた先を走っていると、道中に壁に凭れる死体を見つけた。
「…父さん達じゃない」
傷口は驚くほど綺麗ものではあったものの、ゾルディックのやり方ではなかった。
殺ったのはクロロだ。
周囲を見回しながらAは立ち上がると、そのまま急ぎ足でその場を去った。
そろそろ近いはずだ。
これぐらいならと『円』を展開しながら、Aは携帯を懐から取り出すと何処かへ電話をかける。
呼び出しが数コール鳴る中、Aは耳にあてながら「イルにしては出るのが遅いな…」と呟く。
あの弟、私の電話は恐ろしい出るのが早いんだけど…。
まさか、向こうでなにかあったのか。
少し不安さを抱いたあたりで、漸くコールがぷつと途切れ、Aは「あ、イル?」と声をあげた。
『あ、ね、姉様…!』
微かに高く上擦った声が通話口を通して返ってくる。
イルミではない事は確かである前に、Aは久々に耳にした声音に眉を開いて答える。
「カルト!?」
Aの前のめりな訊ねに、通話口の相手____カルトは興奮気味に『そうです、カルトです!』と言葉を返した。
その声音は、聞いただけでも分かる通り、よほどAと会話を出来るのが嬉しいと見える。
ゾルディック家兄弟の末っ子、その人物こそカルトであった。
『イル兄様は今お仕事中で、それで代わりに出てと』
弾んだ声音で矢継ぎ早に述べるカルトの声を聞きながら、Aは相槌を返す。
「どう、順調?」
訊ねる最中、Aはふと立ち止まる。
非常階段だ。上に行くか、下に行くか。
『はい…!そろそろ任務完了のご連絡____、』
その時、カルトの声を遮り轟音が響いた。
弾かれたようにAは音のする方へ顔を向けた。
階下だ。地下の方から今の音は鳴った。
正解は下か
Aは、上階から階下まで飛び降りて急いで音の方へ向かった。
『姉様、さっき大きな音が!?』と通話口から心配するカルトの声が聞こえたが、Aは手短に「大丈夫、問題ないわ」と返した。
本当は、“私は”と付けてしてやりたかったが。
依頼主の姿を頭に、Aは音がした部屋へ辿りつく。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時