617:静かにしなさいパンチ ページ21
「Aのやつ、さっきの顔合わせが終わったらふらっとどっか行きおったぞ。どこ行くんじゃーって一応聞いたら、後で合流するとは言っておったわい」
ゼノの返しに、シルバは片手で器用に髪紐を結びながら呆れた表情を見せた。
「アイツ…実力も才もあるのに、『円』は下手くそだからな。どうやって合流するつもりなんだ」
「なぁに、こんだけ騒ぎになっとれば流石に分かるじゃろ。ま、Aのことじゃ。ゴミ掃除ぐらいはしとるじゃろ」
二人の会話に、クロロは「こうやって聞くと、Aってツンとしてるが“娘”なんだな」と思ってしまう。
無論、正面の二人は自分とAに面識があることを知らない。
「ともあれ、ワシらはこっちに集中しようかの。……厄介な使い手じゃからな」
ゼノの鋭い眼光がこちらへ向く。
厄介な使い手と言いたいのはクロロも一緒だ。
死ぬ前に来てくれよ、A。
流石の二人を前にして、クロロは微かに冷や汗を流し腰を低く屈めた。
それまで、なんとか俺は持たすことにするよ。
一方、Aはひたすらに廊下を走っては階段を下り、走っては下りを繰り返していた。
「もぉーーー!!!どこに居るのよ、みんなぁーーー!!!」
彼女は、祖父が大丈夫だろと言っていたにも関わらず、やはり父親の予想通り『円』が下手くそなので迷いに迷っていた。
「私の『円』ってこう…大きさも探知力もばらつきがあるのよねぇ…はぁ、これだから変化系って」
肩を落として、Aは非常階段の扉を開けると、手摺を軽やかに乗り越えて階下まで一気に飛び降りた。
あまりにも高層ビルな上に探す手間がありすぎると感じたAは、階下から攻めていくことに方針を変えたのだ。
「居ますように、居ますようにぃ………っと、」
なんてもはや神任せ、祈りながらフロアに出ると、なんとそこはエントランスのようになっていた。
加えて、人でごった返している。
誰かが大声を上げているなんて様子はないが、全員が揃って苛立ちを隠せずに居た。
「オークションに参加しようと思ってた連中か…」
Aは呟くと同時に、エントランスから伸びる二つの階段、中二階のようになった場の壁にクレーターのようにひび割れた箇所があるのを発見した。
「お…!おお…!!これはさては、父さんの『ちょっと静かにしなさい』パンチでは!?」
思わずAは、人目も憚らずクレーターの前に躍り出ると声を上げてしまう。
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マニ。(プロフ) - 鼻毛太郎さん» ✉️。こっちのHUNTER×HUNTERの作品も最高に好きです!ヒソカと夢主ちゃんがいつ結ばれるのかも楽しみです💖 (2月18日 13時) (レス) id: f769238e4f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伊波トウナさん» コメントありがとうございます!🙌かれこれ今年で4年となる、まるで作者耐久レースでもしてんのかってぐらい長期連載ですが、俄然暗黒大陸までやる気ですのでぜひ気長にお楽し頂ければ幸いです!!🩷️💙 (1月12日 19時) (レス) @page44 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - とても面白くて一気見してしまいました!本当に面白かったです!続きが今も更新されてるって知った時マジでガッツポーズしました。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (1月12日 18時) (レス) @page44 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 好き好き症候群さん» コメントありがとうございます!😭🤍文字量も章も多いというのによくぞここまで…!ペースはまちまちなのですが、更新は続けていきますので是非また遊びにいらしてください😌 (1月6日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
好き好き症候群(プロフ) - コメント失礼します〜!先程、作品を読み切ったのですが最高でした😖😖文章もかなり凝っていて、読みやすかったです!久しぶりに神作品に出会えて嬉しいです🥲🥲更新を楽しみに待っています🙇 (1月6日 8時) (レス) id: da48891b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月15日 14時