【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-13-

610：二重唱 ページ14

ヒソカが聞き分けが良い時というのは、単純に本当に聞き分けがいい時と、Aに咎められた方は別に止められても止められなくても最初からよくて、本命はその先にすることである時の二パターン存在する。

後者、何故彼が止まってくれるのかという疑問だが、それは本命をその後先行させた時に『さっきは止められたけど、こっちは止められないからね』を示す為でもある。
こうなってしまったら、もうAでも彼を止めることは出来ない。

彼本人が理性を取り戻すか、飽きるまで委ねるか。
それしかない。

「ん…、ふ、」

やばい、喰われる。
Aの脳内に数年ぶりの死の恐怖が蘇ってくる。

そういえば、過去一度だけなんのスイッチを踏んだか理性の飛んだヒソカに殺されかけたことがあった。
その時、殺されるとは思わなかったが、死の香りを生きていて一番近くで感じたと思う。
結局、あの日は『エデン』をかなり駆使して、腕一本と肋骨を数箇所折られ、その他全治何週間かの怪我を引き換えになんとか気絶させて止めた。

そうは言っても、それからも大変で『エデン』を使用するための燃料を使い果たしはAは、満身創痍の体でヒソカをAお抱えの医者のところまで引きずっていったりし、目覚めたら目覚めたで


「ボクを止める気じゃなくて殺す気で相手してくれよ。面白さが半減するだろ♢」


と文句を垂れたので、その場で医者と看護師にクジラ3匹分の高濃度麻酔を打たれるまでヒソカを殴り続けたのは言うまでもない。
と、それぐらい面倒だった話はもうお分かりの通りという訳なのだが、彼の今の瞳はその時と同じ瞳をしているのだ。


唇を喰む。
先程まで甲を這っていた舌が唇を割って入ってくる。
水音が響いて、たまに呼吸が出来そうになってもまたすぐに口を塞がれる。
上手く脳に酸素が回らず、段々とされるがままになっていき、脳がゆっくりと溶かされていく。

口の中に血の味が広がっていっている。
きっと、私もヒソカ君も口の周りが血でべちゃべちゃになっているんだろうな。



まるで、人でも喰ったみたいに。



掴まれる腕が痛い。
強く握りすぎだろ。
血が回らなくて軽く痙攣している。

別に、ぶん殴ってても平手打ちしても良かった。
何故なら、前と違って片手も両足も満足に動くし、そもそも殺し合いをしているわけではないのだから。



それ以上に、死臭と血の匂いが立ち込める最悪な場所でするキスが、あまりにも心地よかった。

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