559:ギャルと愛煙家 ページ9
脹相は、突然自分に頭を下げたAに瞳を小さくせて驚いていたが、すぐに表情を元に戻して「勿論だ」と告げた。
そして、俺の横をずかずか降りていって「悠仁、行くぞ」と。
「ちょ、なんでお前が仕切ってんだよ」
一緒に行くともまだ言ってねぇけど。そう付け足すも、成り行きに任せて俺は脹相を追いかける。
「A、」
「行けよ」
皆には上手いこと言っておく。
Aは、いつもみたいに新しい煙草を抜き出しながらそう言った。
「ありがとう」
既に煙草を吸い始めたAが、はよ行けと手で払って示してきたので、俺は急いで脹相を追いかけた。
「行かせたんですね」
静かになった駅の階段。
Aの横に腰を降ろしたのは、大量の怪我人の治療を終えたばかりの家入硝子であった。
「ま、大事なことは言えたしな」
Aが家入の横に気怠げに腰を下ろすと、肺の空気を全て吐き出すよう大きく紫煙を曇らせた。
「皆は?四人も抜けてたら、流石にやばいんじゃねーの?」
「夜蛾学長が見てくれてますよ。特研の連中もいるし」
「夜蛾ちゃん、流石私の事分かってんねぇ」
くつくつと肩で笑うA。
「一本ください」
「ん」
箱ごと渡すと、家入は慣れた手つきで抜き出す。
そして。自分の懐からさっとライターを取り出すと、煙草の先を焦がした。
「A先輩、あんまり吸うと早死しますよぉ」
「吸わなかった七海は死んだぞ」
ぽわ、Aが宙に輪っかの煙を吐き出す。
「超ブラックジョーク」
家入も同じように輪っかの煙を吐き出してみせる。
二つの輪が近づきぶつかり、消える。
「なんかさぁ、傑にもああいうこと言ってやったらなんか変わってたのかなぁ」
「過去を振り返っても変わらないって言ってたのはどこの誰でしたっけ」
めちゃくちゃ序盤から聞いてるじゃん、Aはじとりと家入へ目を向けると、澄ました顔でわざとらしく彼女は煙草を楽しんでみせた。
「変わんないですよ、別に。アイツは、意外と虎杖より利口じゃないし、それに」
家入が長いまつ毛を伏せる。
「A先輩に未練タラタラだったし」
「っかぁーーー!モテる女は辛いねぇ!」
他人事のように言うAに、結構元気だなこの人と家入は内心思う。
今度は、半ばため息混じりに煙を吐き出して、家入は「それで、行くんですか?」と訊ねた。
「やることも、調べたいこともあるしね」
Aの瞳がすっと細くなる。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時