【呪術廻戦】ギャルと呪術-12-

556：ギャルと二人きりの ページ6

少し前。

俺は、Aと別れた。

人知れず、俺は渋谷のあの場所から抜け出そうと思って、場がまだ落ち着きを取り戻さないうちに姿を眩ますことに決めた。

けど、Aの方が上手で、まるで俺の行動を読んでいたみたいに逃げた先で俺を待ち構えていた。

煙草をふかす姿に、俺は行かしてくれと口を開きかけると、Aは言葉を被せかき消してしまう。

「少し話せるか？」

そう問われ、話すだけならと思い俺は小さく頷くと、Aに促されるまま適当な階段に腰を下ろした。

「一応言っておくと、こうやって話して時間稼ぎしようってつもりじゃないからな。私の仲間に上手いこと足止めして貰ってる」

「……ごめん」

「なにが？」

Aは、さらりとした口調で返してきた。
俺は押し黙る。なにがって、アンタが一番よく分かってるだろ。
俺の目がそう言っていたのか、Aは俺を見てふっと笑うと「相手に一方的に謝罪を押し付けんのは傲慢だよ」と一蹴した。

「悠仁が悪いと思ってることに対して、私が怒ってるかどうかは私が決める。中身を聞いて尚、そりゃ許せねぇなと思ったら謝んな」

くしゃり、Aが俺の頭を撫でる。
すっかり家入さんのおかげで治ったAの手。
前みたいに、爪が長くてキラキラなネイルを施されていないのがなんだか辛かった。

「…宿儺が、Aを巻き込んだ」

「それは悠仁のせいじゃなくて宿儺のせいだろ」

「違う。制御出来なかった俺のせいだ。俺が強かったら、俺は気絶することもなかったし、そうしたら指も食わされることはなかった」

「…」

「俺のせいだ」

言葉にすると、どうすることも出来ない喪失と絶望が押し寄せてきた。
俺は人を殺した。犯罪や法律違反の前に、それは人の倫理を破壊する。心を蝕み、追い詰める。

「俺はもう、皆のところには帰れない」

ぽつ、零した直後、ゴッと鈍い音を立て後頭部に鈍痛が走った。
思わず「い゛っでッ！？」と声を漏らし、体をくの字に曲げてぶん殴られた箇所を抑える。
目ん玉が飛びとるかと思ったと内心思いながら、殴ってきた本人へ涙目を向けると、俺に反してその人は酷く冷たい目を向けて言った。

「のぼせ上がるなよ、ガキンチョ」

握った拳をAが解く。

「この世の何もかもを自分が原因だとでも思ってんのか。私は、目の前で何も出来なくて悟を封印された。これは、私のせいか？いや、違う。きっと、どれだけ私が強くても、展開は変わらなかったさ」

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