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599:ギャルと天元たま ページ49

____。




地下道に七人の足音が響く。


「なんなんですか、その格好」

「いや、普段はちゃんと動きやすい格好してんだよ?たださ、皆の前に如何にも呪術師〜って格好で来るのもなぁって」

何気ない会話を、先行するAと伏黒がする。
九十九は、そんなAの背をじっと見ていた。

初めて聞いた。
自分たちは、脹相の手助けが無ければ来るのさえ困難であったここにAは既に居た。
一体どう来たんだと尋ねれば、あの『月伽蓬莱院』の蔵に薨星宮直通の地下通路があるときた。

何のために、何故そこにあるのか。
予想はつかない訳では無い。だが、有り得るのか。






地下道を抜けると、彼らは白い光に包まれた。

「…なんもねぇな」

真っ白な空間で辺りを見回す虎杖が声を上げると、その音は空間の中を何重にも跳ね返り響かせた。


「これが本殿か?」

「いや。私達が拒絶されているんだろう」

伏黒の言葉に、九十九が独り言にも近い調子で返す。

本当に隅から隅まで真っ白だ。おかげで、奥行や距離感が狂いそうになってしまう。
何処から漏れているかも分からない光が乱反射し、白い空間を眩しく照らす姿に、Aは暗闇から突然現れた光に慣れようと目を細めた。

「時間が惜しい。戻ろうか」

乙骨がそう皆に切り出した矢先、Aは真っ更な空間に何かがぽうと浮かび上がったのを視界に捉えた。
最初は見間違いかと思ったのだが、どうやらそうではなさそうなのだ。

「A、戻ろうぜ」

真希がAの背へ声をかけた時、Aが何処か一点を見つめていることに気づいた。同時のことだ。




「帰るのか?」




高くも低くもなく。
女性なのか男性なのか。
しゃがれた声音が、帰ろうとする彼らの顎を掬った。

全員の瞳が声の主を捉える。

真っ白な空間に立つその人物は、空間など気にもならないほど異質な存在であった。
そもそも、まず人なのだろうか。

しかし、Aはそんな事など気にも留めていない様子で、顔をぱっと明るくさせた。



「初めまして。禪院の子、道真の血、呪胎九相図、宿儺の器。そして_________綺羅の娘」



最後にAを一瞥したその人物に、Aは瞳を輝かせると黄色い声を上げて飛びついた。


「うっっわーーー!!マジで天元様じゃーん!!!うっそ、ジャミラみたいでかわち〜!!やば、マジで会えるとは思ってなかったからバイブス上がるの止まんね〜!!」



あぁ、そうだった。
この人、根はギャルなんだった。

600:あとがき→←598:ギャルと父



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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇‍♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時

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