596:ギャルと黒煤 ページ46
「…」
口篭る秋星を前に、Aは更に切り出す。
「聞きたいことが山ほどあるんだ。私の“正体”と、あの男が母さんを殺したのとは関係あるか?」
「…!」
何故それを。
瞳が瞬き、秋星が口を開きかけるが、Aが咄嗟に片手で制する。
「まだある。宿儺が、千年前に居た何者かと私を重ねてる。いや、最初は重ねてると思っていたんだが、どうやら違うっぽいんだ。重ねてるんじゃなくて、まるで宿儺はそもそも過去に私と会っているような物言いをする」
そうだ。
口にしてみて、Aはやはりそうだと改めて確信する。
宿儺の今までの物言い、それと自分に対する接し方は、ただ過去に出会った何者かを重ねているレベルではない。恐らくそれは、その人物“本人”に対する接し方と何も変わらない。
それでも、時折宿儺は自分の姿を通してその奥に瞳を向けている気がする。
だから、秋星にAは“過去に会っている”なんて言ったが、それすらもしっくり来ていない。
「…正しく感じたことをそのまま言うなら、私の中身に話しかけてる…みたいな」
Aは、衣服の上から胸を撫でる。
掌に感じるのは間違いなく心臓の拍動だ。
しかし、果たしてそこにあるのは本当に自分の心臓なのか。
Aにとっては、今やそれすらもわからない。
「宿儺に私が何者なのかを直接聞ける機会があったんだ。その時、宿儺は“武神 毘沙門“と言った。それと、私に憑いていた呪霊を解呪する時に生得領域を覗いた」
口の中を湿らすためだけにAは出された茶を口に含む。
まだ熱い。すっかり温くなっているだろうと思っていたのだが、それだけ自分が急いて物事を喋っているのだろう。
時間惜しい。ゆっくりしている暇はそもそもないのだ。
「アレはやっぱり土地神だ。昔、親父は知ってるか分からないけど_____、」
「『
「なに…?」
突然、言葉を割って入った父親の声に、Aは訝しげに片眉を釣りあげる。
「いや、正式名称は『
秋星は顎を撫で、独り言のように呟くと、未だ言葉を呑み込めていないAへちらりと目を向け補足した。
「両面宿儺が過去に葬った村だ。全て燃やされ、そこら一体は一面黒い煤だらけとなった。だから、その村が焼けた跡地を黒煤と呼んでいる」
お前が昔、母さんに連れられて行った場所だ。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時