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595:ギャルと人骨 ページ45

あの無下限と六眼を持つ小僧をか。
半信半疑な様子で秋星が訊ねると、Aは暗い顔をしてこくりと深く頷いた。

娘の肯定に、秋星は深いため息を吐きだした。

「ついにそこまで考える奴が出てきたか…。いや何、目的は知らんが極論を言えば、あの小僧さえ封じれば大抵の馬鹿げた事は可能だからな」

だがそうだとして、誰がやろうなんて思うんだ。
丸く剃り上げた頭を片手で撫でながら、住職特有のよく響く声で呟くと、Aが虚空を見つめたままポツと吐き出した。

「傑だ」

包帯を引き裂く音が鳴る。
言葉を発したあと、Aが自身の腕に新しく巻いた包帯を裂いた音だ。

「正確に言えば、傑の体を勝手に使ってやがる別の人物。加茂憲倫……いや、それすらも仮宿としていた姿だと奴は言っていた」

手慣れた手つきで、歯で裂いた包帯をAは片手で結びきる。手慣れたものだ。それだけ、傷を負った回数も多いということではあるのだが。

明ける前の世界はやけに静かであった。
包帯の衣擦れだけが音を鳴らし、Aは自分の思考をまるで整理していくよう言葉を並べる。

「額に縫い目のある男。…奴は、例の廃駅で憑いた呪霊は元より私のものだと言った。だとすれば、どうして私だったんだ? たとえ、それが過去私が奴を葬ったが故の私怨だとして、じゃああの時私と奴が出会ったのは偶然か?」

「…」

思い返せば、あの男はAが15.16の頃に対面した時も自分のことを知ったような口を聞いた。

じっと黙っている秋星。
Aは、徐に懐を探ると秋星の前にある物を置いた。

「…なんだ、これは」

「骨だよ」

目の前に出された得体の知れないものを凝視する秋星に対して、Aはサラリとその正体を述べる。

「これは額に縫い目を持つ男が逃げる時、私の前に例の呪霊を展開してきたんだが、その時呪霊の体から掠めとったものさ」

「人骨か?」

手に取り質感などを確認しながら秋星は訊ねると、Aは静かに「恐らく、足あたりの骨だと思う」と返した。

Aは、あの時立ちはだかった呪霊___夜一の身体から確かに何かを掴んだ。
最初は体毛かと思われたが、片手を開くとそこには骨の欠片があったのだ。

呪霊のものではない。
呪霊を専門とする研究に傾倒しているAは、すぐにそれを理解した。

では、だとすればこれは一体。


「親父。あの縫い目の男は誰だ? アイツにとって、私は何者なんだ?」

596:ギャルと黒煤→←594:ギャルと可借夜秋星



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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇‍♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時

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