594:ギャルと可借夜秋星 ページ44
____。
埃の被った桐箪笥を引き開けると、そこから鴉のような黒衣を取り出しAは羽織った。
これが母さんの。
『
基本的には、寺院で行われる催事やAや弟の夜一が学生時代を終え使わなくなったものなどが眠る場として使っているのだが、その一角には亡き母親____『可借夜綺羅』の遺品も同様に保管されていた。
Aは、まだ薄明をも訪れぬ明け方に渋谷を後にした。
Aは、呪術界全域に情報が回るよりも早く、まずは自宅に戻ることにしたのだ。
「A」
こんなにも早い時間帯から、父親の『可借夜秋星』は寺院の掃除をしていた。
箒を片手に、現れた娘の姿を見て秋星は微かに目を丸くしたのだが、すぐにAの姿を見て只事では無いことを察した。
「渋谷の方にデカい帳があったな。何があった」
普段の秋星は、喉に拡声器でもついているかのようにデカい声で喋る。
そのおかげで、Aとは毎回「ンなデケェ声出さなくてもきこえてんだよ!!?」と喧嘩が絶えないのだが、Aにかけた声は、朝方だからか常人のそれと変わらない声量であった。
いや、朝方だからではないのかもしれない。
Aがあまりにも、焦燥しきった顔をしていたからか。
「戦争になる」
ぽつと零したAの言葉に、秋星は表情を曇らせる。
「悪い、親父」
憎まれ口をギャーギャーと叩き、いつまで経っても子供のように悪態をつくも、誰よりも明るく自由な娘の声が、今日は今にも泣き出しそうに震えていた。
「助けられなかった…っ」
膝から崩れて、泣きながらそう言った娘。
秋星は、Aの傍に膝をつき「…まずは中に入って、暖かい茶でも呑め」と促した。
娘のこんな姿を見るのは、彼女が生まれて初めてだった。
見慣れたリビングで茶を啜りながら、Aは渋谷で起こった一部始終を父親に話した。
夜一が真人という呪霊により目覚めさせられたこと。
自分が夜一を殺したこと。
あぁ、だから“助けられなかった“か。
秋星は包帯などの処置道具をもってきながら悟った。
Aはある程度処置をした様子であったが、包帯には既に血が滲んでいた。
それほどまでに深い傷を負うほど、渋谷の現場が壮絶であったのは秋星の目には明白であった。
「それで、奴らの狙いは悟の封印だったんだ」
「何、五条家の…?」
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時