591:ギャルとまずい煙 ページ41
対して九十九は、なんて事ない様子で肩を竦めるのだが、それがAの機嫌を余計に逆撫でるのだ。
この女許しておけねぇ。掴みかかろうとするAを真希と乙骨が二人がかりで抑える。
九十九を前にしたAは、基本的に着火寸前の爆弾だ。
しかも、極端に導線の短い。
「なぁ、なんで九十九さんとAって仲悪いわけ?」
「さぁ。大体、Aさんと九十九さんが叔母と姪の関係だって知ったのは渋谷以降だ。あの人、マジで嫌いだから俺に話さなかったんだろうな」
Aさんがあそこまで嫌うって相当だけど。伏黒は機嫌悪そうなAを眺めながら思う。
「くそ…。こんなとこじゃなけりゃ、アンタを一発殴らしてもらってたのにな。良かったな、場所に感謝しろよ」
真希と乙骨から解放され、襟首を正しながらAは渋々と言った。
相変わらず派手な格好ではあるのだが、彼女の服装はどこか普段のものとは違っていた。
真っ白なTシャツとブルージーンズの姿は、Aにしてはやたらと特徴もなくラフな格好である。
まるで、一体今までどこで何をしていたのか全く伺えないほど。
「はいはい、場所。ね」
ニヤけ顔が差す九十九に、Aは舌打ちを鳴らした。
「君にとって、ここは色々あった場所だもんね」
「…知ったような口聞いてんじゃねーよ」
Aの声音がワントーン低くなり述べられた言葉に、会話を聞いていた伏黒だけが不思議そうな顔をしていた。
ふと、その時後ろで「うおッ」と虎杖の声が上がった。
「なんだこれ、血痕…?」
虎杖が靴の底と床を見比べる。
靴の底には、何もついていなかったものの、確かに言葉通り床には掠れるも赤黒く濁った血痕の跡があった。
「…何かあったのかな」
呟く虎杖の言葉に、九十九が淡とした声音で「一二年も前の話さ」と返した。
十二年も。伏黒は、頭の中でその言葉を反芻させながら、Aを横目で垣間見た。
Aはといえば、九十九の言葉を聞いているのかいないのか、いつも通りの様子で尻ポケットから煙草の箱を取り出し、一本吸い始めていた。
「…煙草、美味いですか?」
本当は、何かあったのか聞きたかったのだが、その言葉を喉の奥に流して訊ねる。
するとAは、紫煙を吐き出しやっぱりなんてことない顔で
「恵ちゃんはこんなもの吸っちゃやーよ」
と返してきた。
多分、まずいんだろうな。
察する伏黒。
「吸いませんよ」
ここでAにとって何かあったことを表すには十分であった。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時