555:ギャルと狩の準備 ページ5
「ご遺言状はこのフルダテが預かっております故、三人集まられている今読み上げさせて頂きます」
フルダテは、その場で正座をすると、胸元から三つ折りの紙を取り出し広げた。
咳払いを一つ。
「一つ。禪院家27代目当主を禪院直哉とす。一つ。高専忌庫及び禪院家忌庫に保管される呪具並びに全財産を直哉が相続し、禪院扇と禪院甚壱の承認があった上で運用させることとす」
なんや、好き勝手は出来んわけか。直哉は小さく舌打ちをする。
当主の座は与えられるんだし、今回は目を瞑ってやろう。
自分が座に着いた時には、なんだかんだ上手くやってやればいい訳だし。
「ただし」
続けざまに述べられたフルダテの言葉に、三人は微かに瞼を開かせた。
「何らかの理由で五条悟が死亡、意志能力を喪失した場合、伏黒甚爾との誓約状を履行し伏黒恵を禪院家に迎え、同人を当主とし迎え全財産を譲ることとする」
そして。
フルダテは続ける。
「伏黒甚爾との誓約状を破棄したい場合は、可借夜Aの首の献上を必須とす」
ちゃり、ピアスの金属が揺れる音。
「あ゛?」
その時、直哉の内に生まれたのは、一切の曇りなきドス黒い殺意と怒りであった。
拍手の音が木霊する。
車も通らない、信号も動かない。音が極端に削られた世界で、その拍手の音はよく響いた。
もう一度、虎杖は川を挟む橋の上で拍手をする。
何度目かの拍手。
まだ必要か、思った矢先橋の下から現れたのは巨大な呪霊二体。
「出たな」
虎杖は、横目で二体を一瞥すると、そのまま全速力で駆けた。走り出した虎杖に反応して、呪霊達が追いかける。
虎杖の走る速度は、落ちることも早まることも無かった。
ただひたすら、一定の速度でどこかに向って走り続ける。
呪霊は二体から、人間の気配に三体、四体と数を増していく。
虎杖はそのまま走り続けると、道路下の地下トンネルへ潜り込んだ。
「脹相!!」
虎杖の視線の先。待ち受けていたのは、九相図の受肉体である男だ。
彼は、両手を槍のように突き出すと呟く。
「『穿血』」
勢いよく放たれた血液で作られた槍が、虎杖がここまで連れてきた呪霊達の脳天を貫いた。
一匹逃したことに、脹相は気づく。
虎杖へ知らせようと口を開きかけたその時。
虎杖の拳は、既にその逃した呪霊へと放たれていた。
彼の瞳に以前のような光は無い。
なぁ、A。
俺は上手くやれてるか?
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時