587:ギャルと再会 ページ37
誰もがその人物を前にして、後ろ姿だけでそこに何者が居るのかを理解した。
先の禪院直哉と共に乱戦に巻き込まれたことを思い出し苦い顔を見せる脹相。
「やれやれ、全く…」と肩を竦めるも、どこか呆れの中に安堵の色を滲ませる九十九。
演技など最早必要も無い中、久しぶりに恩人に出会い明るい顔を隠しきれない乙骨。
「ゴキブリよりしぶといだろ」と悪態をつくも、信じて待っていた真希。
突然目の前に現れたその人物に、瞳を丸くさせる伏黒。
そして。
「よっす」
振り向いて、片手をあげるその人。
虎杖はぱっと顔を輝かせて、一番にその人物の元へ走っていった。
「A…!!」
隠しきれない再会の喜びに全身でぶつかっていく虎杖に、Aは「どわッ」と短く声を上げ驚きつつも虎杖を受け止めてやる。
「大型犬が飛びついてきたみたいだな…」
呟くAを他所に、虎杖は赴くままに言葉を捲し立てた。
「A、なんか俺…っ、Aが敵になったのかと思ってなんか、俺もうマジで…っ」
「あーあー、不安になっちゃったんだ。お前ほんと可愛いやつだねぇ」
ぽんぽんと虎杖の背を撫でてやると、ぐりぐりと肩口に顔を寄せ「反省しろよなぁ!?」と声を上げてみせた。
「はいはい」と親心を得たような気分で虎杖と再会の抱擁を交わしていると、いつの間にか至近距離に佇んでいた脹相のじとりとした視線にハッと二人は気づく。
「不純異性なんとかだ」
「あのなぁ、脹相。Aはもう恋人が居るし、学生とAが付き合ってたらヤバくない?俺、Aを犯罪者にしたくねぇよ…」
脹相の言葉に呆れた様子で返しながら、虎杖はAからやんわりと離れる。
特段後ろめたいわけでも名残惜しい訳でもなく、無論やはりこれは虎杖にとって再会の嬉しさからくる抱擁だったからだ。
それでも、まだ人間界に生まれ落ちて日の浅い脹相は虎杖とAに疑い深い目を向けていたのだが。
見兼ねたAが、やれやれと言わんばかりの口振りで切り出す。
「なんだよ。じゃあ、脹相君も私と再会分かちあってみる?ハグしたら嬉しい〜って気持ちになるかもよ」
「誰がなるか。…酷い目に合わせやがって」
「あぁそれね!いや、その節はマジで感謝してるんだよ」
どうやらずっとAが睨まれていたのは、虎杖と絡んでいるからではなく、例の数刻前に起こった乱戦から来るものであったらしい。
確かに、アレが演技だとしても脹相の言う通り彼は酷い目にあったのは確かだ。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時