580:ギャルと呵責 ページ30
「たとえ、僕に何かあったとしても、やっぱりAを護ってやるのは僕がいい」
そこは譲れない。
五条の声音は相変わらず軽くて、いつも通り冗談でも言っているように聞こえたが、乙骨は『あぁ、本気なんだ』とすぐに察した。
「悪いね、今の僕って自分の生徒にも張り合っちゃうぐらい分かりやすくAへの独占欲凄いんだ」
「先生、相変わらずだな」
虎杖の口から、笑い混じりの言葉が零れた。
呆れてるのか、それとも懐かしくてか。
五条が封印されてしまいさして時間が経っていないのに、なんだか凄く前のように感じてしまう。
「そういう訳で、僕は君の処刑執行人として立ち回ることにしたんだ。でも、総監部だって馬鹿じゃないから、君を一度は殺しておく事実が必要だった。そういう縛りを結んじゃってさ」
本当にごめん、両手を合わせる乙骨に、虎杖はいやいやそんなと首を降る。
正直、今も彼が味方とは信じられないくらい騙されてしまった。
迫真の演技は拍手ものだ。
「でも、なんで生きて…」
「反転術式だよ」
乙骨はあっさりとした口調で返す。
特級呪術師の名は伊達じゃないらしい。
しかし、そうは言ってもどうして彼がそこまで自分に尽くしてくれたのかが、今の虎杖にとっては理解が出来なかった。
だからこそ、彼は思わず「どうしてそこまで俺に」と言葉を零した。
すると、乙骨は虎杖の瞳をしっかりと見て返した。
「僕の大切にしている人たちが、君を大切にしているからだよ」
闇の中で、焚き火の火が弾ける。
「僕も君みたいな境遇だった時がある。君と同じで、秘匿死刑の宣告を受けたことがあってね。でも、その時秘匿死刑用の部屋でAさんが言ってくれたんだ。『君の意思でそうなったわけじゃないでしょ。
自分を恨むよりも、その行いに対して解決に努める方が有意義だよ。』って」
そして。
「『君は悪くない』」
乙骨の表情と、Aの表情が被る。
虎杖は、ひゅっと息を吸い眉を歪めた。
目の前の乙骨は、片手間に置いてあった廃材を焚き火の中に投げ込みながら、その時を思い出すよう静かに笑って「凄いよね、Aさんって」と呟く。
分かってる、そんなことは。
「…俺だって、分かってるんだ。俺のせいじゃねぇっていうのは。…だけど、“それ”をした奴が俺の中に居るのは事実だ」
胸の奥がきゅうときつく締まる。
言葉を吐き出すのがこんなにも苦しい。
「それはつまり、やっぱり俺が人を______」
「虎杖」
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時