573:ギャルと破格の ページ23
激痛走る脇腹を抑えながら、これには思わず脹相も「このクソ女…ッ」と呟いてしまう。
当の本人は、「だって刺されたらいてーじゃん」と最低な発言をしているではないか。
「っつーか、刺した直哉クンの方が性格悪くね?ね、脹相クン」
「お前もな…!」
どっちもどっちだドアホ。
ぎりと噛み締めた奥歯の底に最後の言葉が吸い込まれる。
揃いも揃って戦法は巧妙で場馴れもしている。
加えて、直哉もAも『赤血操術』を熟知しているのが厄介だ。
今までと同じでは、二匹の獣に食い遊ばれて死ぬことになる。
「ま、大丈夫っしょ。『赤血操術』持ちなら止血はお手の物だし。問題なのは、直哉クンが私を刺し殺そうとしたことだけどね」
「はは、どうやったかな」
ここぞとばかりににこやかな笑みを浮かべてしらばっくれる直哉。
Aも同じようににこりと彼女にしては優しすぎる笑みを浮かべてみせた。
「いいよ、別に。私も時間が無限にある訳じゃないからさ。さっさと終わらせてやるよ」
表情とは裏腹、言葉を最後まで述べた途端にピリと一瞬空気がひりついた。
それを感じとった直哉と脹相は、すぐさま『来る』と確信し戦闘態勢を取る。
刹那、脹相の双眸が二つの閃光を捉える。
いや違う。閃光じゃない。
眼光の残像か…!!
脹相が気づいた時には、Aとの距離は鼻先を掠めるほど近づかれていた。
視界の端で直哉が顔を顰めている。
Aの反射速度は、その時直哉が通常捉える事が出来る速度を超えていた。
脹相は、直哉を捉えた方とは別の視界の端でギラリとした銀の煌めきを捉える。
即座に瞳を動かした時には、Aが器用に片手で小刀を持ち直した後であった。
「いつの間に…!?」
それは先程直哉が投げ捨てた小刀であった。
そして、脹相の掌にAは間髪入れず小刀を突き刺し、壁と脹相を縫い止める。
激痛と吹き出す汗。刺されっぱなしではお得意の止血も間に合わない。
「じっとしてな。傷に障るよ」
Aが言い残して、脹相の目の前から電光のように消える。
歯を食いしばり痛みに耐えながら抜こうとするも、先程直哉に与えられた腹部の刺傷が邪魔をし上手く力が入らない。
「っ、ぐ…ッぬぅ…ッ!!」
力を込めると、比例して激痛もやってくる。
このままでは悠仁が…!
弟が…!!
虎杖の姿が脳裏を過ぎる。
「兄失格だ…ッ」
一方、苦悩する脹相を他所に、Aと直哉の乱戦が始まろうとしていた。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時