571:ギャルと漂白 ページ21
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あまり人間を前にして怖いなと思ったことはないのだが、今目の前で相手をしているこの人だけは怖いと思って挑まないとあっという間に食い殺されてしまう。
虎杖は、乙骨の脇を走り抜けると近くに駐車されていた四駆に窓から入り込んだ。
そして、すぐさま反対の窓から抜け出す。
背越しに乙骨が刀を構え追ってきているのは分かっていた。
だから、ここで迎え撃つ。
乙骨が虎杖に対して刀を振り下ろした同時、金属がかち合う鈍い音を捉えた乙骨はすぐさま虎杖から体を離す。
「…ナイフ」
サバイバルナイフを構える虎杖に、乙骨はなるほどと気づく。
先ほどの四駆からとってきたわけか。
「呪具じゃないし、そんなに危機感を感じることもないけど……。Aさんがどれだけ教えてるかにもよるかな」
刀を緩慢な動きで構え直す乙骨。
「やっぱり、Aのことも知ってんだな」
「うん。去年はかなりお世話になったから。けど、」
力を入れるような素振りを一切見せなかったにも関わらず、一呼吸の合間に乙骨は虎杖の鼻先まで距離を一気に詰めてきた。
「特級呪詛師なんでしょ。死刑宣告されてるから、君を殺したあとはAさんの相手もしなきゃいけない」
一応ね。
淡々と涼しい顔をして言葉を述べる割に、虎杖の刃を弾く彼の刀は重い。
だが、ここで食い止めないと。
「…ッ、」
乙骨は敵だ。
五条やAの世話にはなっているものの、規定が彼らに処罰をというのであればそれに従う側。
必要ならばAも殺すことを、この乙骨は視野に入れている。
「Aが…ッ、特級呪詛師だ…ッ?」
乙骨の刀を止めながら、虎杖は言葉を吐き出す。
「知らなかった?まぁ、無理もないか。君は今、俗世から離れて逃亡しているわけだし」
味方も多いけど、あの人は敵も同じくらい多いから。
乙骨は言い切ったあと、虎杖が振ったナイフを刀で受け止め、鍔迫り合いまでに持ち込んだ。
カタカタと乙骨の刀の重さに押されて虎杖のナイフが震える。
もっと意識しろ
刃に呪力を込めるイメージを
随分昔に、五条に呪具を用いた呪力操作の話を聞いたことがある。
けれど、『ま、そういうのはAの方が上手いから、Aが居る時改めて教えて貰えばいいよ』なんて言って、結局教えてもらっていなのだ。
「Aさんに教えてもらってないでしょ」
まるで、こちらの頭でも覗いたよう乙骨は言い当てた。
「意識の向け方がまるでなってない」
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時